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振り返ると、ぶつかったのは人だった。軽く触れた程度にも関わらず、相手は転倒し尻もちをついている。
そして、そのやけに細い身体に、城島は一瞬目を見張った。透き通るような白い肌と、金色を極限まで薄めたような色素の薄い髪。何より、長く伸びた前髪の隙間から覗いた碧眼に、どきりと心臓が鳴った。
「・・・大丈夫、ですか」
(なんだ、こいつ)
言葉を詰まらせながら、相手に問う。すると、低い場所から、その広げた大きな眼に いっぱいにこちらの姿を捉えている。
その姿は上目遣いだとよく分かった。まるで欧米の人形のような雰囲気。瞬きを数回繰り返すと、それは城島を見て思い出したように、掠れた声を上げた。
「あ、たいし、さん・・・」
「そうだけど。あんたどこの家の人?」
「え、あの・・・」
不思議そうにこちらを見つめる男子は、立ち上がれば城島の肩にも及ばない背丈だった。華奢で薄い肩に触れると、ぴくりと身体を震わせる。
ふと視線を下ろした時、その男子の首元に、黒いチョーカーが巻かれているのに気が付いた。そして城島は、自身が何故この場にいるのかを思い出した。
目の前の“彼”は、恐らくそうなのだろう。そうでなければ、αの人間しか出入りが出来ないこの場には、何か特別な理由でもない限りは入れない筈だ。
「・・・あんた、もしかして」
言いかけた時、黒いスーツに身を包んだ城島の従者がそれを遮った。城島を随分と探したようで、呆れたように注意された。そして、おどおどした様子で城島を見つめる男子にも声をかける。
「和真様も御一緒でしたか。それでは、こちらへ」
“かずま”
名前の響きが、あまり外見と合っていないと城島は思った。あの見た目ならば、もっと良い名前を付けても良かったのにと。
だがそれは、彼が「虐げられる性」だからなのだと、無理矢理自分を納得させた。
そのまま二人、会場の奥の部屋へと入っていく。会議室のような広い空間に、豪華絢爛なカーテンと絨毯が敷かれていた。その真ん中に、絨毯と同じ柄のクロスが掛けられたテーブルがある。
そこに座っていたのは、城島の父親だ。
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