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「・・・あ、あの」
しばらくの沈黙の後、かずまは恐る恐る口を開いた。向かいに座る城島はといえば、眉間に皺を寄せムッとした表情を浮かべるも、この部屋から出て行こうとはしない。ただ刻一刻と過ぎる時間を噛みしめるかのような空間に、かずまは少し耐えられなくなっていた。
「あの、太史さん」
「・・・何だよ」
「お見合い・・・承諾して下さるんですか?」
城島は、その不安げな表情で視線を向けるかずまを見れなかった。
その解答は、彼の為なら仕方がない、と思った。今までの人生を考えると、同情なんて関係なくその願いを汲んでやりたいと思った。反対に、その想いは損をしているのに、勿体ない——とも思うけれど。
「そうするしかねえんだろ、あんたは」
城島は、自分がそんな事を言うなんて思っていなかった。これまで人を思い遣る言葉をかけた事なんて、数える程もない。好き勝手に振舞ってきた自身は、ここまで他人の為に自分を犠牲に出来ない。それに、僅かに引け目を感じたからか。
「ありがとうございます。親に連絡してきます」
そう感謝を述べると、かずまは碧い瞳を優しく細めて立ち上がった。
「・・・オメガって、自覚あんのかな・・・」
2人になってから極度に増した甘い匂い。αである城島には、これが何であるか理解出来た。今までどの相手にも感じなかった異質なもの。Ω側は、この匂いを検知出来るものなのか分からない。
自覚はあるのか。
(・・・運命、とか。信じなかったのに)
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