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出会ってしまった。
自分の、「運命」に。
かずまが両親へ連絡するからと部屋を出た数分後、城島の父親はニヤリ顔を終始崩さずに城島とかずまの元へ再びやってきた。何せΩ性を迎えるのは初めてらしく、勝手がいまいち分かっていない。何よりかずまの可愛らしさに、単純に頰が緩んでいるだけなのかと問われれば、そうなのだろう。そして、自分の息子が見合いを承諾した事にも嬉しさを感じていた。
「・・・親父。その面やめろよ」
「これから家族になるんだぞ。こんな可愛い子が太史の嫁なんて・・・私は嬉しいよ」
にっこりと笑って、かずまへの言葉と強調している。
「よ、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて、かずまは笑った。
αとΩの結婚には、特別な意味がある。第2の性があっても、結婚は男女間で行われるのが一般的で、その双方の性別は、様々な組み合わせで成り立っている。Ωは男女問わず妊娠が可能な唯一の性であるが、今までΩ男性が子を儲けたという事例はまだ数件しか報告されていなかった。
番になったとして、妊娠までさせるのはどうなのだろうと、城島は疑問に思っている。家の人たちは、跡継ぎを心待ちにしているのだから、きっと後々そんな話も出てくるだろう。
早速結婚式の準備を、なんて話をしている父親を横目に、頭を抱えながら考えていた。
「たいしさん」
「なに」
「これから、どちらへ?」
パーティーが終わり、後片付けを全て家の従者達に任せたまま、城島はかずまを連れて自分の部屋がある別邸へ向かう車へと案内した。いずれは番になるのだからと、父親は同じ屋根の下で暮らす事を大前提とし、城島が幼い頃から過ごしてきた場所が良いだろうと提案してきた。
勿論、その方がいいのだろうが、城島本人は戸惑いを隠せずにいる。
「俺の住んでる屋敷だよ。城島の本家とは少し離れたとこにある」
それを聞いたかずまが、「やった」と喜んだ声をあげた。
「なんでそんな嬉しそうなんだよ」
「あ、すみません・・・たいしさんが幼少期から住まれてる別邸があると伺ってたので。楽しみで」
「そんな、いいもんでもねえよ」
どうやら、城島の事は見合い前に一通り情報が渡されていたらしい。城島が産まれて間も無く母親は亡くなり、父親は仕事ばかりだった為に、幼少期より城島本家とは少し離れた場所に建つ別邸で、執事や従者と共に暮らしてきた。
その頃から父親の姿はテレビの画面越しに観る程度で、実際に会ったのは中学に上がってからだ。
「もっと、聞かせてください。たいしさんのこと」
知りたいんです。
そう言ったかずまの瞳の奥は、大きな期待でいっぱいだった。
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