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「・・・わあっ、すごい」
城島家の別邸は、本家と違い土地自体は広くはないが、小さかった城島が元気よく遊べるようにと、広い庭が付けられた豪邸だ。天井から吊るされたシャンデリアに、かずまは思わず声をあげた。口元を両手で覆いながら小刻みに震えている。
「そんなに良いもんか?」
「す、すごいですっ・・・!!」
自身もそれなりに有名な家系の生まれであるにも関わらず、かずまはまるで庶民のように驚いた。
といっても、かずまはΩ性だと分かってから、家族にあからさまに避けられ、離れにある別宅にて家族とは距離を置いて過ごしてきたのだと、先程淡々と父親から説明された。
かずまは学校にも行かせて貰えなかったというが、文字の読み書きは出来るし、生活に困らない程度の知識は身に付いていた。特に食事のマナーはしっかりとしていて、魚の小骨もしっかり取り、綺麗に平らげる。
「このお魚、とても美味しいです! なんていうお魚ですか?」
お腹を空かせているだろうと、使用人が気を利かせて晩御飯を用意してくれていた。
興味が絶えないのか、出てくる料理に感激しては、産地や味付け、料理のコツなどをシェフに質問している。特に魚料理が好きなようで、食べている合間も幸せそうに笑っていた。
「食べるの、好きか?」
「はい・・・! 特に和食が好きなんです。昔から、うちではイギリスの料理しか出なかったので。たまには、母の国の料理が食べたいなと思っていたんです」
そうか——と城島は呟くように言った。知りたいんです、と言われた時は、戸惑いと同時に少し不安になった。けれど、これから一緒に過ごしていく上で、相手の事を知っておくのは重要なことだ。何が好きで、何が嫌いか。何を思って、どんな顔をするのか。
「俺にも、教えてくれ。・・・お前のこと」
城島はそう言って、今までにない顔で笑えた気がした。どうしてか——それは目の前にいる自分の嫁が、林檎のように真っ赤に頬を染めたから。
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