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アルファとオメガ
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α性は、“運命の番”であるΩ性を見つけると、その表情や仕草が柔らかくなるのだという。表れ方は人それぞれだが、城島の場合は特に顕著だった。
「婚姻届」と書かれた用紙に名前を記入した。結婚式はそれほど豪華なものではなく、比較的ひっそりと行われたと思う。これで、城島とかずまは夫婦となった。
あれから、本人のいない場ではもっぱら噂になっていた。“城島家の跡取りが嫁を迎えて丸くなった”などと言われている。だが前よりも雰囲気はあからさまに変化していた。従者に対する言葉遣いや表情が優しくなり、そして何より、嫁といる時はそれが倍以上になる。
城島自身にも自覚はあった。原因は、彼にしか分からないかずまの匂い。運命だと分かったあの瞬間から、決して邪険には扱えないようになったのだ。
「・・・なんか、違う匂い」
「ああ、シャンプーですかね。いつもと違うものが置いてありました」
すん、と城島は鼻を鳴らす。かずまの濡れた髪からは、いつもと違う匂いがした。しっとりと水分を含んだ髪を乾かしているかずまの隣で、城島はじっとその綺麗な横顔を眺めている。
「あの、あの。たいしさん・・・恥ずかしいんですが・・・」
「お、悪い。キレーな顔だからつい」
「もうっ。やめてくださいっ」
ぽっと赤く染まる頬に、城島はなんだか嬉しくなって微笑んだ。
本能とはいえ、たった数ヶ月で変わったものだ。
といっても、2人はまだ番にはなっていない。
かずまの発情期も、城島のヒートも、実際相手を前にして現れた事はまだ一度もなかった。
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