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「・・・そういえば、今日お義父さんに呼ばれました」
「え、なんで」
「たいしさんの後継者就任パーティーの件で・・・聞いてませんか?」
小首を傾げながらそう問うかずま。その目に映る城島の表情は、一瞬にして青ざめてしまった。
かずまとの婚姻を済ませた城島が次にすべきこと、それは正式に、城島家の跡取りとなることだ。城島の父親は、結婚式が行われた後しきりに後継にはいつなるかと聞いてきていた。
城島本人にはまだその気は無い為に、上手く逃げてきていたつもりだったが、意思とは関係なくその話は水面下で動いているらしい。
「聞いて、はいたけど・・・そんなに急かしてくるもんなんだな・・・てかパーティーやりすぎなんだよウチは・・・」
「ははっ。早く孫の顔が見たい、って仰ってましたよ」
「・・・え?」
——ん?
と、城島は瞬時固まる。
気が早いにも程がある、なんて、あの父親にはもう何度言ったか分からない。自分が決めた事なら正しいと思い込み、絶対にそうしてきた。中学生にして初めて会った時も、本当にこの人が自分の父親なのか疑問に思ったものだ。
それと同様に、城島はかずまの言い方にも引っかかるものがある。まるで全て受け入れているかのような言い方に、拍子抜けだった。
「お前は、それでいいの?」
「・・・僕は、そうしたいです。お見合いの日に、たいしさんを見て心に決めましたから」
そう言って、微笑むかずま。そうしてふと、首に巻かれたチョーカーに手を伸ばした。
(夫婦になることを?)
(城島家の、跡取りを産むことを?)
「お前ほんとに・・・もっとねえのかよ」
覚悟がありすぎる——こんな自分とは違う、と城島は思った。
ぎしり、とベッドが軋む。
ごろりと寝転がると、城島は顔を両手で覆い隠した。
頬が熱い。
恥ずかしさと、これは
何かまだ分からない不明な感情だ。
「・・・なんか、ダメだわ俺」
「え、どうしたんですか?」
「お前にはやっぱ、驚かされてばっかだわ」
運命だと分かった時から。
ぼそっと呟いたのは、かずまには届いていなかったようだ。なんですか?——なんて聞かれたけれど、再び言葉にする勇気を城島は持ち合わせていない。
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