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就任パーティーは、卒業式の2日後に控えている。卒論の進捗を見ても、このままではまずいと分かってはいる。けれど城島は、何故か心がざわついていた。
「・・・なぁ須藤」
脳裏に浮かぶのは、家で帰りを待っているかずまの事だった。
「好きになっても、いいもんかな」
「は?」
「なんか、ざわざわすんだよ」
視線を落とす城島の瞳。その異変に気付いたのは、恐らく彼が最初だっただろう。じわじわと内側から発せられる熱に、脳内でピンと線が引かれ、それが一気に繋がり一つになる。
「太史、お前さ」
「・・・ん?」
「それって、ヒートなんじゃねえの?」
——ぽかん、と音がしたように、城島は固まってしまった。
城島の瞳の奥で微かに燃ゆる熱に気付いたのは、須藤が同じアルファであること。その上彼には既に番がおり、その相手に対するヒートも経験済みだからだ。
須藤は城島とは小学生の頃からの付き合いで、何より城島が思っているよりも、須藤は彼の心情を読み取るのが上手かった。
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