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それから3ヶ月。
城島は、無事に大学を卒業した。進まなかった卒論も無事に終わり、そっと胸を撫で下ろしたのは記憶に新しい。
「無事に終わって良かったな」
「ほんとに・・・まじで良かった・・・」
当の城島本人といえば、顔を青くして沈み返っている。無事に終わったのは良いけれど、それは3日間の徹夜で得られたものだ。今はとてつもない疲労感に襲われ、須藤の声かけに応えるので精一杯だった。
あの日、自身のヒートに抗う事をせずノアを抱いた事を、城島は何処かで申し訳ない気持ちになっていた。同時に嫌な顔一つせず受け入れてくれた彼に、何とも言えない喜びを感じた。
——けれど、まだ番にはなっていない。
「これから就任パーティーなんだろ。さっさと行けよ。その酷い顔なおしてもらえ」
「こんな顔で出たくねえっつの。須藤も後で来いよ」
「ああ、気が向いたらな」と曖昧な返事を貰って、城島は別邸へと足を進めた。
城島は現在、後継者としては“候補”の段階だ。といっても、これから行われる就任パーティーにて、初めて正式に跡継ぎとなる。父親が会見を開いてまで自分を候補として発表していた為に、今日のパーティーにはマスコミが沢山いるだろうなんて冷やかされた。
不安も勿論あるけれど、怖気付いている場合ではない。
ノアを抱いたあの日から、城島にはある覚悟と感情が芽生えた。それは、自分の運命を受け入れる覚悟と、ノアへの気持ちだった。
(運命、か)
(・・・まあ、あいつだったから良かったんだよな。きっと)
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