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就任式
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約半年前にも、同じようにパーティーが催されていた。城島はそこでノアと出逢ったのだが、もう何年も前の事のように思える。
ステージには『城島家後継者就任パーティー』と垂れ幕が掲げられ、会場には沢山の来賓とちらほらと会場入りを許されたアルファ性のマスコミ記者が見える。
城島は、この舞台に立つのだ。
堂々と。城島家の跡継ぎとして。
「この度は、城島家後継者就任式へご来場下さりありがとうございます——」
タキシードを颯爽と着こなし、震える事もなくステージに上がる。大勢の人が見守る中、城島は胸を張り話し始めた。
「・・・和真くん」
ノアに声をかけたのは、城島の父親だ。銀色のスーツに身を包んだ男は、華奢なノアの肩を軽く叩くと、どうだい?と尋ねてくる。
「太史は、君と出会ってから成長したよ。本当にありがとう」
「いえ・・・たいしさんは、すごい人です」
——あの時写真を見た瞬間から、ノアは城島に興味が湧いた。どんな人なのだろう。どんなふうに喋り、どんなふうに笑って、怒るんだろう。
この会場で、直接会ってからも、興味は尽きなかった。
親に決められた相手だった。自分はこうするしか出来ない——そう思っていた。けれど今、ここに立っているノアは、全てに感謝している。
(ぼくの・・・運命の人・・・)
ステージに立ってスピーチをする城島を、愛おしい表情で見つめていた。
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