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好き
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その男は週に3回程、
家に金を持って来るようになった
俺と前と変わらない行為を続けた
気持ち悪さも吐き気も恐怖は、何度やっても感じた
でも、男が最後に言ってくれる
「いい子だ」
という言葉を聞けば、安心した
男が来ない日に、毎日殴られ、蹴られ痛み付けられたのも
首を絞められたのも、ビニール袋に入れられたのも
ご飯を貰えなかったことも、無視された事も
「いい子だ」という魔法の言葉を聞けば、
救われた気がした
いつしか、俺は男の事が好きになっていた
父親が、それに気付かない筈が無かった
しばらくして父親が俺と男の行為を見るようになった
最初は男も嫌そうな顔をしたが、黙っている事を条件に見させていた
ある時、不意に父親は男に言った
「コイツ、お前の事が好きみたいだぜ」
恥ずかしかった
顔が赤くなった
「えっまじ?それは無いっしょ」
男は否定していたが、俺の赤くなった顔を見て
「うわっ...まじかあ」
と顔をニヤケさせた
バレた事が恥ずかしくて、顔を下に向けた
「おじさーん、コイツいくらで買える?」
男が言った
父親はニヤケながら言った
「コイツは売らねえよ、悪魔で貸すだけ、
絶対にやらねえ。良い商売道具だからな。
お前のお陰でフェラくらいなら出来るようになったっぽいし、もっと悪趣味な奴が高額で買ってくれるだろーよ」
男が突然親父に殴り掛かった
「あんまりだ、それはない」
金切り声で、男が叫ぶ
親父は男の腹に膝蹴りを入れる
男は蹲る
「やめて!...っ!!!」
急いで手を伸ばすが、
手が届く前に俺も鳩尾を横から蹴られる
衝撃と痛みと悔しさと悲しみで目から涙が零れる
親父は男の髪の毛を掴んで顔を上げさせる
男が痛みに呻きながら親父を睨む
「お前だって同じ穴の狢の癖によォ...
あんまりだ、なんてどの口が言えるんだよ
知ってるんだぜ…お前がアイツを借りる金を作るために、借金してる事も。そんなにアイツが良かったか?
俺の商売道具に満足して頂けましたか?あ?
さっき、お前が金を借りてるトコから連絡来てたぞ〜
場所は教えてやったからそろそろかなぁ?」
男の顔が真っ青になった
俺は、それを、泣いて見る事しか
出来なかった
親父が男の顔に唾を吐いた
丁度玄関のチャイムが鳴る
「いいタイミングだなぁ」
親父が持ち上げていた男の頭を地面に落とす
男は、力が抜け、死んだような目で俺の顔を見て言った
「お前のせいだ」
俺の体が、冷たくなった
他の音が、聞こえない
頭の中で、"お前のせいだ"という言葉だけが
耳の中で、永遠にリピートされる
「あ......」
入ってきた知らない怖いおじさん達が、男を連れて行く
腕を捕まれ、引き摺られるように、玄関から出ていく
その間、ずっと男は俺の顔を見ていた
俺も、男の目から、目をそらす事が、出来なかった
玄関の戸が閉まる時、
男の小さく言った
「バイバイ、〇〇してたよ」
という言葉が、ヤケに耳に残った
男は、来なくなった
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