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抱っこされたままなんて、申し訳なさすぎる……
「四つん這いなら進めます。遅ければ、引きずって頂いても構いませんのでどうか下ろして下さい。」
我慢しきれずそう言うと
「引きずりなんてしないし、叩きもしないよ。
何度も言うけど君はもう奴隷じゃないんだ。
歩けるようになったら一緒に庭へ出よう、広くて花も沢山咲いているからね。」
と微笑まれてしまった。
微笑まれるなんて、初めてではないだろうか
奴隷になってからも…………なる前も、
たったの一度もなかった。
ーーー御主人様の部屋に着いた。
置いてあるベッドは僕が寝てたのよりも大きくて、部屋は何十倍と広かった。
こんなに広くて大きいお屋敷を持ってるなら、実は凄く偉い人なのでは……などと考え事をしていると
「名前をまだ聞いていなかったよね。教えてくれるかな?」
と質問が降ってきた。
「番号なら……」
「番号?」
「はい。自分は小さい頃から名前がなかったので、
奴隷の番号なら」
素直にそう答えると、御主人様は一瞬目を見開いたが すぐに優しい顔に戻り質問を続けた。
「親がつけてくれなかったということ?」
「はい。
なぜつけてくれなかったのか理由はわかりませんし
外出もなかったので、知識もあまりございません。」
「……にしては綺麗な言葉使いだ。」
「両親に奴隷として売られた後。市場で、
『言葉使いがしっかり出来ていると
いい値段で売れる』
という理由で言葉使いだけは厳しく教え込まれましたので。」
「…………他には何か強要されたことはあった?」
「えっと。。。
あ、禁止されていたものならいくつかございます。」
「そう、
嫌な質問ばかりしてごめんね。
ちょうど今朝食が届いたみたいだから、食べながらでもゆっくり話そう。君のことをもっと知りたいだけだから、つらかったら言ってね。」
そう言って、また、頬笑む。
優しく綺麗な声に聞き惚れていると
「失礼いたします。」
女性の声と共に、美味しそうな香りが漂った。
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