アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
プロローグ
-
春休み明け
新学期が始まってしばらく経った頃
騒がしい大学の食堂
日のあたりのいい窓際のテーブル席
俺は両耳にイヤホンを突っ込む。
音を音で消した世界が俺のいつもの昼休み
「……。」
また失敗した。
大学生活は二年目に入ったばかりだけれど
授業が変わったくらいで特に一年の頃と変わりはなかった。
昼飯も変わらず毎日コンビニで買ったおにぎりを二つ食べる。
毎日食べているはずなのに封を失敗せずに開けられたのは
きっと片手で数えられる程度だ。
「はぁ」
ため息を吐きつついつも通りの時間を過ごす
はずだった。
「あの!!」
ふわり、揺れるミルクティー色
音楽よりもでかい音に驚いて肩がビクッと跳ねる。
無視をしようとしたが、どこか熱っぽい視線に
渋々イヤホンを外した。
周りにいた野次馬も初めこそ視線を向け気にしていたものの
自分に関係のないことだとわかれば徐々に各々の食事や談笑に戻っていった。
「な…」
「一目惚れしました、俺と付き合ってください!!」
何か用か、と続けようとした言葉は形にならず
自分よりも大きい音に遮られた。
「……は?」
キラキラした瞳は眩しくて
目を、逸らしたくなった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 302