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「じゃーなー」
「あたし明日一限からなんだけどさいあく〜」
「あー、俺こっからバイトだ〜!」
「ねーやばくない!?」
「お前次出る?」
あちらこちらから聞こえる雑音と敷地の広さに違わない人の多さ
人混みが得意ではない俺にとっては苦痛でしかない
既に四限が終わり時刻は四時すぎ
授業が早めに終わったため午前中の教授に名指しで指定された研究室に向かう。
廊下には今から帰る奴、これからもまだ授業がある奴、
何となくで残っている奴の様々な声が聞こえる。
俺もできるなら帰りたい
これから押し付けられるであろう雑用のことを考えるとまたため息が出た。
、
「失礼します」
研究室に入ってすぐ
入口付近では何やら身支度をしている教授の姿
「ん?二葉か。遅かったな」
「はあ、4限まで授業あったんで」
余所行きの笑顔も出ないのは仕方がないと思う。
誰が好き好んで雑用なんかやりたがるか
「そうかそうか。もう先に来たやつは始めてるからそいつに色々聞いて終わらせてくれ。まあざっと200部くらい作ればいいから」
「は?」
「じゃ、私はこれから他大学で行われる会議に行かなくてはならないからな。頼んだぞ」
肉々しい手がポンッと肩に置かれた。
と思ったらすぐに教授は俺の横を通り過ぎて行く。
「え、ちょ、山本きょっ!……ほんとに出ていきやがった」
バタンと無慈悲にも扉は閉められ、なんの説明もされずに取り残される。
呆然と立ち尽くしていても何も状況が変わることはなくとにかく回らない頭を働かせる。
さっきの口ぶりからして他にも頼んでる奴がいるってことだよな?
うわ、めんどくさい
まだ一人で黙々と作業している方がマシだ。
しかも二百部って完全に資料作りだよな、あー……
「教授〜ホッチキスの芯なくなったんすけど替えの物って……え?」
「あ?」
「え!?あれ?山本教授は!?て、え、あれ!?」
研究室の奥からひょっこり顔を覗かせ間延びした声を響かせたのは
昨日の迷惑野郎だった。
「お前、昨日の……」
「そうそう!覚えててくれたんですね〜!うわ〜!また会えるとか運命ですかね!?」
ブンブンと尻尾が見える勢いで瞳を輝かせ
こちらに歩みよってくる犬みたいな奴
何だこの展開
「俺、金井翔太って言います!美人さんの!!!お名前は!!!」
グイッと手を引っ張られ強引に握られながらされる自己紹介
最悪だ……!
これなら本当にサボって帰って後から怒られた方がマシだった!
つーか、なに手握ってんだ離せ
……しかも、顔、近い
咄嗟のことでされるがままに
考えたことは口から出ることもなくただただ固まる。
未だにキラキラした瞳でこちらを見て俺の返答を待っているミルクティー色
固まる俺を他所に握られた手が離れることはなくブンブンと縦に振られる。
躾のできていないでかい大型犬みたいだった。
ほんっとうに最悪だ!!!
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