アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
話せって言ったり黙れって言ったり
本当に俺は自分勝手だなとは思う。
けれど聞けないことだってある。
「頼むから、言わないでくれ」
「二葉さんは、どうしたいの?」
俺にだってわからない。
わかりたくないんだよ。
「俺は自分の気持ちをちゃんと伝えたい。それが原因で二葉さんを避けてたってのもあるし……俺が言いたいことはそれだけだよ」
「……。」
俺から何が言いたいのか聞いたのが間違いだった。
そんなのわかってる。
俺は本当に間違いだらけだな
失敗してみないと気づけない
何も言えないで俯いている。
と、
パンッ
「っ?」
金井は両の手を合わせて音を鳴らした。
突然の大きな音に驚きつつ顔を上げる。
「そんな顔してないでよ、別に困らせたくて言ってるわけじゃないからさ。仕方ない!今回はやめといてあげます!」
そんな顔とはどんな顔をしていたのだろうか
その代わり、と金井は悪戯な笑みを見せる。
誰かに似てるなと思ったら前に小森が俺に見せた笑みと重なった。
そういやこいつら幼馴染?ってやつだっけか
違ったっけか、まあどうでもいいな
「自己紹介をしましょう!」
「は?」
間抜けな声が出た。
もしかしたら無理難題を押し付けられるのかもと
身構えていた分なんだか拍子抜けだ。
いや、自己紹介ってなんだ、今更すぎるだろ
「あ、いま今更って思ったでしょ!」
こいつはなんでわかるんだよ
これがコミュ力ってやつなのか
「気持ちに答えてくれなくてもせめて聞いて欲しかったけど、なんか二葉さん辛そうだからさ〜。無理やりとか俺趣味じゃないし!だからまずは仲を深めていつか二葉さんの準備が整ったら聞いてもおうと思って!」
そんなふうに言われればグッと押し黙るしかない
甘く優しそう顔して意外と強かなやつだ。
ニコニコと笑みを浮かべているが諦めていない目だな
はあ、と何度目かわからないため息を吐く。
拒否して逃げることもできる。
が、その後が面倒そうなので諦めた。
「二葉、文学部、二年、以上」
「え、終わり!?ロボットなの!?しかも全部知ってる情報…え!?二葉さん二年生だったの!?!?!?」
ニコニコ笑っていたかと思ったら驚愕の表情を浮かべる金井
忙しいやつだな
「新しいことが知れてよかったな、じゃ、帰るか。」
「いやいやいや、待って待ってもうちょっと付き合ってよ」
「…。」
嫌そうな顔をすると「じゃあ俺の話聞いてくれる?」と笑顔で聞かれる。
こいつ……俺の意見を尊重してやるとでも言いたげだが
答える前からわかってる回答など主導権は確実にそっちあるだろ。
適当なこと言って逃げようと思っていたけれど
どうやら無理そうだ。
「自己紹介なんてしないからわかんないんだよ。」
「じゃあ俺が質問するね!」
「……」
めんどくさい以外の感情は
もう浮かばなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 302