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ひねくれ者の、邂逅
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金井の写真のモデルをやることになって数日
俺は毎日のように写真を撮られていた。
正直なところレンズ越しに観察されているかのようで
撮影中は落ち着かない。
「自然な感じのキラキラが撮りたい」
そう言った金井
キラキラってなんだ。
求める相手を確実に間違えていると思うのは俺だけだろうか。
キラキラっていうのはお日様みたいなやつとか
それこそここは大学で
実際にモデル経験あるやつはいるだろうし
あいつが声をかければ喜んで頼まれる人もいるだろう。
『俺、二葉さんのことが本気でっ…』
自分で聞かないようにしたとはいえ意識しない、というのも難しい話で
思い出すと少し申し訳なくもなる。
けれど、あいつも変に道を踏み外して黒歴史を作るよりはマシだろ
今日も放課後、撮影会をするようだ。
雨が降っていたから休みかと思ったけれど
部室の方に来て欲しいと言われた。
運良くここ数日は晴れが続いてたからな
梅雨の時期で晴れというのは季節的には異常気象なんて言われるけれど
俺からしたら十分な睡眠も取れるしありがたいことこの上ない
放課後、ってあいつ今日は何限までなんだ。
ぼーっと講義の準備をしていると
「隣いい?」
「ああ」
声を掛けてきたのは小森だった。
あっ、思い出したような声を漏らす。
「あの日、倒れた後翔太に全部任せちゃったけど大丈夫だった?」
「あぁ、あん時は助かった。礼も出来ずに悪かったな」
「そんなの気にしないでよ、大丈夫ならいいし」
小森はほんとにできた人間というか優等生って感じだ。
なんで金井や佐伯、特に佐伯
正反対とまではいかないが違ったタイプなのに仲いいよな。
「さんきゅ、今度なんか奢る」
「まじ?んじゃ、肉がいい」
「ん、わかった。」
軽い口調で相手に気を使わせ過ぎないようにする配慮ができる。
本当に良い奴だと思う。
正直、前まではいい子ちゃんってイメージの方が強かったけれど
今は一緒に居て居心地はいいし楽だ。
、
「それでは、今日はここまで。次、152頁から始めるので予習してくるように」
終鈴代わりに講師の声で授業は終わる。
講義が終わった教室は「疲れたー」「次何?」「この後どこ行く?」や
次の講義の奴らと入れ替えで教室は誰とわからない声で騒がしくなる。
「そういえば、噂によると金井のモデルやってるんだっけ?」
「なんだよ噂って、どうせ本人に聞いたんだろ」
「まあね、でも意外だった。二葉そういうの嫌いそうだったから」
交換条件で仕方なくやってるとは言えず、曖昧な返事をする。
「まあ成り行きで」
「そうなんだ?」
教室を出てさてどうしようかと考えながら話す。
あいつの時間割なんか知らないし
「あー!ふたばーーん!!こおもり〜〜!!」
「うるさいのが来た」
「うるさいのが来たな」
小森に頷く。
「ちょっ!?ふたばんまで!?」
「前も言ったけどそのふたばんってのやめろ」
「えー、じゃあ、いずみん?翔太も下の名前で呼んでるしそっちのがいっか!」
「尚更嫌だわ」
ぶーぶーと口を尖らせていじける佐伯の後ろから
もう一人のアホもやってくる。
今日もふわふわとミルクティー色を揺らして
「佐伯くんよ、君声でかすぎだぜ」
「目印になるから良かったな方向音痴よ」
「なんだと!?」
こいつら二人が揃うと話が進まない
小森と帰っていいか?と話していると、じとっとした視線を感じる。
「なんだよ」
「いや、なんかいずみんとこおもり仲良くね?」
「普通だろ」
「そーかなー?」
「お前、なに伊澄さんのこと名前で呼んでんだよ!?」
「いや、お前こそなんでさん付けなの?」
まあ確かに自分でも何となく距離は近くなったと思うけれど
普通じゃないのか?普通の友達ってもんの距離感が
未だにいまいちピンとこないからわからない
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