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ミルクティー色の、
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断られるかなと思ったが伊澄さんは直ぐに頷いてくれた。
もしかしたら、俺が何か考えてるのが伝わったのかな?
二時間近く電車に揺られて着いた海
潮の匂いは懐かしく感じる。
ここは俺が住んでた町だ。
高校卒業まで住んでいて、大学に入学と同時に一人暮らしを始めた
そう考えるとそんなに離れてないとはいえ、小森と中学から一緒ってすごいことなのかな??
あいつは寮暮らしだけど…ってそれはどうでもいいか。
よく、どうにもならない時とか頭を冷やしたい時とかに自転車を走らせてこの海まで来た。
夜の海は静かで俺なんかどうでもいいと言うように波を立て続ける
それが、悩んでいる俺にはちょうどよく感じたんだ
波打ち際で波と追いかけっこしてみる。
そんな俺をボーッと伊澄さんがしゃがんで浜辺から見ていた
「伊澄さんもやらないー?」
波に打ち消されないように大きめの声で言ってみせるけど伊澄さんは見てるだけでいいんだって
会話に気を取られていれば容赦なく波が打ち付けてくる
「あ゛ーーーーーー!?」
なんて、いつもの調子でおどけてみるけど心は全然そんなことなくて
海に来て、伊澄さんもいるのに、モヤモヤは増すばかり
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか暗がりの中の彼は少し泣きそうな顔をしていた。
こういう時、目がいいっていうのに感謝だな
呼べば素直に近づいてくる伊澄さんが愛しい。
差し出した手に縋るように触れる手に満たされる俺がいる
濡れた靴に舌打ちする伊澄さんに苦笑が零れる
嬉しいことを言われても心から嬉しいと思えない今の自分が嫌だ。
ヘラりといつものように笑って誤魔化すことしか出来ない自分が嫌だ
「笑うな」
「え、」
「笑いたくないなら笑わなくていい」
「っ」
そんなことを言われたのは初めてだった。
だって、誰もそれに気づかなかったから、気づかれたことがなかったから
俺は本当は良い奴とかそんなんじゃなくて、そりゃ楽しい方がいいからそうやってすごしてるだけ。
ただ周りからよく思われたいから、よく見せようとしてるだけ。
そんな俺の笑顔を綺麗だなんて言うんだ
本当に伊澄さんは変なとこでカッコイイんだから
ポツリポツリと呟くように核心には触れず俺の弱さをさらけ出す
伊澄さんは前に逃げ癖があるって言ってたけどそれは俺もだよ。
多分、俺の方がひどい
そうやって話しても不安は消えない。
それどころかこんな俺は嫌われるかもしれない、なんて思い始める。
悪循環が始まりかけた俺の耳に届いたのは意外な言葉
「金井の、声が好き」
「え、」
「すげえ綺麗な顔も骨ばってる手も。石鹸みたいな匂いも素直すぎるところも嫌いじゃない。強引なくせに俺のホントに嫌なことはしないとことか、そうやって弱ってるところも」
「ちょ、伊澄さ、ん?」
「でも、やっぱりいつものアホっぽい笑顔が一番好きだ」
「あ、の???」
伊澄さんの「好き」は貴重だ。
それを一度にこんな何回も聴けるなんて思わなくてポカーンと口を開けてしまう
ぐるぐる悩むのは俺らしくないか、伊澄さんが映ったかな?
そう言えばカッコよすぎる俺の恋人に年季が違うと一蹴りされる
あーもー!ほんとダサい!
カッコ悪すぎでしょ俺!?何ほんとにうじうじ悩んでんの!?
開き直ってしまえば本当に自分がダサくて仕方ない
それでもきっと、伊澄さんは俺を選んでくれるんだろうな。
いまはそれだけが分かれば十分だ。
その先のことはその先の自分に任せるよ
いつもの金井翔太、復活です!
、
ついつい昨日今日と思い返していたら長風呂ならぬ長シャワーになってしまった
キュッと蛇口を閉めてふかふかのバスタオルで体を拭く。
流れというか、わざとラブホテルなんて入っては見たものの…伊澄さん可愛なったなあ
思い出したらニヤける。
大人のおもちゃ?はそりゃ俺も大学生ですし?使ったことは無いけど知ってはいますとも!健全な!男子ですし!!
俺の行動に警戒心の強い猫みたいに反応して、あ〜ほんと可愛い
ルンルン気分でベッドの方まで行くと…
「……」
「いずみさーん?」
スースーと寝息を立てて無防備に寝顔を晒して眠る俺の恋人がいた
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