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ひねくれ者の、
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「…っ」
さっきから身体がおかしい
妙に熱い、というか火照ってる
頭もボーっとするし、なんか視界がグラグラする
確かにいつもより飲むペースは早かったけど酔っ払うほど飲んでないはずだ
「いずみ〜?だいじょぶ?」
「あ、ぁ。悪い、ちょっと…」
飲みすぎただけ、と言おうとしても視界がぐらつくばかりで
やばい、倒れる
足元はふらつきバランスを崩してしまう。
次にくる衝撃に備えてぎゅっと目をつぶるが予想したほどの痛みはなく、代わりにボスッという変な音と温もりに包まれる
「ほんとに大丈夫かよ〜」
ボーッとする頭で温もりの招待を考えて
新木に抱きかかえられるように支えられていることに気づく
ぎゅっと力を込められ衣服が擦れる感覚に小さく声を漏らしそうになり困惑する
なんか、まずい。
「わ、るい……」
「いんや?そんなんじゃ帰れないっしょ。タクシー呼ぶよ」
それに俺が飲ませすぎちったから、と軽く笑ってみせる新木
その笑顔に誰かの笑顔が重なる
温かくてふわふわ頭のアイツの顔が
そういえば、さっきのメッセージもまだ返してないな
せっかく新木に半ば無理矢理と言っても
誘ってもらって飲みに行ったのに申し訳なさが募る
けれど今は一刻も早く帰りたい、となんとか大通りの方まで歩く
「…っ…はぁ、…」
時間が経つにつれてどんどん息もが上がり頭にモヤがかかったような感覚に陥る
と、
「いーずみ、タクシー来た。乗ろ?」
「んっ、あ、ぁ。」
グイッと掴まれた腕の刺激に声が漏れる
困惑しつつなんとか平然を装ってタクシーに乗る
「んじゃ運転手さんココにお願いしま〜す」
「あ、らき?」
「伊澄、すぐつくから寝てていいよ?限界でしょ」
ダメだと頭では思ってるのに重くなる瞼には逆らえず体の力が抜けていく
、
「伊澄、起きてほーら」
「んぁ、ンン」
「あは、寝起きに弱いんだ?ま、いっか。運転手さーん、ありがとう」
遠くで車の発車する音が聞こえる
グイグイ引っ張られてどこかの部屋に入れられた
暫くして安っぽい蛍光灯の明るさに目を覚ます
「っ」
「あ、おはよ伊澄」
「な、に」
「あはは、あんまし動かない方がいいよ?今でも相当回ってると思うし」
家、と言うよりもホテルの一室だろうか
気づいたら大きなベットの上に寝かされその上に跨るように新木が乗っかっていて
必死に抵抗するが力の入らない身体ではビクともしない
それどころか動く度に身体が火照り、ゾクゾクと何かが這い上がってくる
上から見下ろされするりと頬を撫でられる
金井じゃない男に、触られてる
「ど、け」
「ありゃ?まだそんな威勢があるんだ」
スルスルと撫でられているだけなのに息は荒くなり内側が波打つように疼き始める
「いやさあ、俺が言うのもあれだけどちょーっと無防備すぎだよな?」
「んっ、さわ、んな!」
「いーね、その顔。最高」
頬に触れられていた手をなんとか払い除ける
それだけの動作でも俺の身体はおかしくなったみたいに熱くなる
払いのけられた手を一瞥してニヤリと嫌な笑みを浮かべたかと思ったら今度は俺の首にそっと手を添えた
ヒュッと喉から変な音が出て少しの恐怖心を抱く
「ほんとはさー、伊澄の顔が結構好みだったからちょーっとちょっかいかけようとしただけだったんだけど」
「俺は、おとこだ。」
「そんなん見りゃわかるし!俺はそういうのどっちでもいいからさ〜まあ、それはそうと。伊澄さ、金井翔太の知り合いだろ?」
「は、」
「まあ、さっきメッセージ来てたの見たからそれは分かってんだけどさ。でも、普通じゃない関係デショ」
「な、にっ」
金井の名前を出したかと思えばとても冷めた目で見下ろされる
首に添えられた手に力が込められ苦しい
「んー、恋人かな?まさかあいつに限ってって思ったけどビンゴでしょ。俺こーゆー勘は外れたことないんだよね」
「っぁ」
息が出来ないほどではないがギリギリの力で首を圧迫され生理的な涙が滲む
くそ、こんなやつの前で泣きたくないのに
そもそも金井がなんだって言うんだ、こいつ金井の知り合い?
と、その時あの海に行った日のことを思い出した
『つまんない俺の意地で全部壊しちゃったけど』
「俺さ、あいつのこと大っ嫌いなんだよね。だから、あいつの大事なもんは全部ぶっ壊してやりたいんだよ」
淡々と興味のなさそうな目で俺を見下ろすこいつは誰だ?
さっきまでのやり取りなんかなかったように射るような冷たい瞳を向けられる
『あいつ、俺のモノが大好きだからさ』
「ほんと伊澄には悪いと思ってるよ?でもさ、伊澄にとっても悪い話じゃないと思うんだよね」
「な、にがっ」
「あいつは色々臆病になってるから大切なもんに対しては奥手なんだよ。実際、手出されてないでしょ。」
それは俺の事とかがあるからで
何も知らない奴が俺たちのことを決めつけるな、と言ってやりたい
けれど、圧迫された喉では音にはなっても言葉にはならない
「ま、ちょっとした遊びだと思って諦めてさ〜俺と愛のないセックスしよ?」
歪んだ笑みを頬に浮かべて新木はそう言った
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