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ひねくれ者の、
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「き、す?」
「そう!それしたらもうこの話おしまい!仲直り!!」
「えっと、」
「え、なに!?嫌なの!?!?」
「そうじゃなくて、」
そんな事でいいのか??
なんかもっと何でも言う事一つ言うこと聞け、みたいなことかと思ったら
いや、まあキスしても言うこと聞けと似たようなもんかもしれないけれど
「だって伊澄さんとキスって数えるくらいしかしてないし!それも毎回俺からだし!!」
「そ、んなことない…?はず、」
「そんなことあるの!!」
はっきり言って拍子抜け、だった。
そんなことでいいのかと思っていた矢先
金井の言葉でそれが"そんなこと"ではないことに気づいた
「俺なーんにもしないからふっか~いキスお願いね?」
「は?」
「ん?」
「いや、でも、」
深い、ってそれって
しかも金井は何もしないってことは俺が全部ってことだよな
「はい、じゃどーぞ」
「っ」
いや、俺だってできる…はず
そもそも恋愛経験とかないわけではないし、
でも、と考えていると金井はニコニコしながら「はやく」と急かすように言う
「っ、目、閉じろよ」
「はーい」
大人しく言うことを聞いて目を瞑る金井
っ、こういう時に限って大人しい…
ベットの上で膝立ちになり金井の肩に手を置いて顔を傾ける
そっと、弧を描く形の唇に自分のそれを重ねた
確かに俺は受け身になりがちだからこうやって自分から、なんて今までもほとんどしたことが無い
ふに、っという柔らかい感触をダイレクトに感じてしまいどうしたらとあたふたしてしまう
「っ、はっ、」
舌先なぞれば誘うように開かれる唇
数十分前の出来事を思い出して、必死に真似るように下を差し込めばいっそう熱い舌に触れた
「っ、ン、ふ、」
「…は、っ」
リードしてるのは俺のはずなのになんでこんなに気持ちよくなってるんだ
俺ばっかり、な気がして金井の顔を盗み見ようと目を開ける
「っ!!」
「ん?」
バッチリと至近距離で目が合った
「おまっ!、んぐっ、ン〜〜〜〜〜!!!!」
文句を言ってやろうと唇を離せば、グイッと頭を押されて戻される
それどころか俺がしていたよりも上手く舌を絡められ言葉は喉奥に飲み込む他なくなってしまった
「ん、!ぁ、かなっ…ン、や…っ」
「ッ、はっ、」
金井の胸を叩けば
ちゅっ、という軽快なリップ音を立てて離れる唇
いままでの行為を暗示されるように銀色の糸が俺と金井を繋いでいた
「っ」
「ごちそーさま、はいこれで仲直り」
睨んでみても全く気にしてない様子でニコニコと笑顔を返されるだけ
くそっ、なんなんだ、
また金井の手のひらの上で踊らされたみたいな気分にイライラは募る
そんな俺の様子を知ってか知らずか
金井の硬い指先が濡れた唇を拭い…舐めた
「なっ!!」
「伊澄さんいちいち可愛すぎ!この先不安だよ〜」
わなわなと震える俺を他所に悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべてそんなことを言う
うるさい、もう知らん
「俺は寝る」
「えー、」
「うるさい!寝るったら寝る!」
何度か金井を蹴ってそのまま布団の中へ逃げるように滑り込む
あいつはいちいち手慣れてて腹が立つ!
そりゃあんだけ綺麗な顔してればそうかもしれないけど、
顔もわからない相手に嫉妬するなんて馬鹿みたいだ
けれど変えられないものは仕方ない、
俺もそうであるように金井も過去のことを変えることなんてできない
それでもな子に嫉妬はする。
「伊澄さんほんとに寝ちゃうの?」
「寝る」
「んー、じゃー俺も寝る」
もそもそと隣の少し空いたスペースに金井が入ってくる
そこそこでかいベットだから落ちるなんてことは無いけれど成人男性二人でならんでねるにはせまう
「伊澄さん伊澄さん」
「るさい、俺は寝る」
「そういえばなんだけど上総にどこまでされたの?」
布団の中に入ってしまえば眠気なんてあっという間で
風呂、と頭で巡るがもう明日でいいか、と意識は沈みゆく
「伊澄さーん」
「ぁ?あー、なんか、媚薬?みたいなの飲まされて…」
「ん!?」
「うしろにゆび、いれられたくら、い……」
「ちょ!?伊澄さん待って待って、聞き捨てならないことが幾つかあるんだけど!?!?!?」
「……」
「起きてー!伊澄さん!お願い起きて!?」
隣でガバッと起き上がる気配がするがもうそんなもの俺にはどうでもいいことだ。
俺はそのまま睡魔という抗えない欲に負けて意識を手放した。
「ちょ、ほんとに寝ちゃったの伊澄さん!?もーーーーー上総おまえだけはゆるさないからなーーーーーー!?!?」
ほんのちょっとだけでも金井と新木の関係もある意味よくなったのかもな。
深夜一時過ぎ、真夜中のホテルに金井の声が響き渡った。
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