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「…覚えていろ、慰謝料請求してやる…っ!!いッしょう、お前をそく…ばくっしてやる…!!」
歯を食いしばりながら、はしたない声を漏らすものかと我慢する我妻に部下は答える。
「好きなだけ、束縛して下さい。」
穏やかな声音に、再び我妻の目がいっぱいに開かれる。長い睫毛に残っていた小さな涙が、瞬きの拍子に落下していく。片頬に落合の長い指が落ちて、緩々と肌を撫でていく。
「…俺は、一途なんで。」
落合仁は目覚めて数秒後。顔を真っ青にした。スウェットの下をはいて、上半身は裸という通常ではない格好で、ダイニングへと通じる扉を全開にする。
そこには…彼の鬼上司が立っていた。酷く乱れたYシャツとよれよれのズボン姿で、裸足のまま、ダイニング奥に位置するキッチンで何かを作っている。…どうやら劇物の精製ではないらしい。漂ってくる匂いが、至って美味しそうな味噌汁の匂いだ。
「…はよ。っつか、お前起きんの遅ェ。おかげでキッチン大捜索しちまったじゃねぇかよ。家主いねぇと、フライパンの場所もロクにわかんねぇんだよ。とっとと起きろっつの。」
文句を言いつつ、我妻はテキパキと動く。細い腰が揺れる。視界で思わず彼の身体を凝視した落合は、やがてキッチンの前まで行き、我妻の数メートル前で唐突に土下座した。
「すいませんでしたァァァッ!!」
起き抜けとは思えない大音量に、相手は冷静に応じる。
「まっっっっったくだ。」
重々しい響きのある返答だった。
落合には記憶が残っていた。…といっても、穴だらけではあるが。とりあえず、大まかな出来事はわかっている。酔っ払って浴室乱入。鬼上司がゲイだとわかって大興奮。好奇心から無理矢理組み敷いて、手で奉仕した。嫌がりながらもあっけなく果てた相手を見ている内にテンションマックス突入。自分の分身と一緒に二人で絶頂を迎えた後、盛大に寝オチした。
「っていうか、お前もかなり度胸あるよな。俺をゲイで女役って聞いた後で手ェ出してきたもんな。…今、フリーだからいいけど。恋人いたら、どう責任とるつもりだったんだよ。」
正座で縮こまる部下の脇を通り抜け、リビングの木製テーブルに朝食の皿を並べながら、我妻はグチグチと続ける。
「あ~あ。伊月の話、間に受けなきゃよかった。なぁ~にが、『部下の扱いが酷い』だ。ちょっとでも優しくしたら、この様だ。返り討ちったって、食うほど恨まれる覚えねぇし。」
「あ、我妻さ…。」
「昨日は、お前の一件さえなけりゃなぁ。家に帰ってホテルでも行って、風俗呼び出して気持ちよく抱かれて、眠れていたのにな~…。」
え゛、と落合が目を丸くする。
「我妻さん、昨晩、俺とシたの気持ちよくなかったんですか!?」
ズンズンと距離を詰めてきた図体のでかい忠犬は、涙目で我妻に迫る。
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