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「慰謝料を出すのは??」
「…俺です。」
落合の頭の中で、KOの証である甲高いゴングの音が鳴り響いていた。
「…とは言ったものの、だ。」
前提を喋り、我妻は卓上から両脚を退け、テーブル下で組み直す。鬼上司はニヤリと笑ってみせる。
「俺も鬼じゃない。毎日返せなんて言わないから、条件をつけてやる。」
(いや、そもそもきちんとした法的機関に任せず、先輩自身で脅して金銭を巻き上げようとしているところからアンタは最早骨の髄まで悪人ですよ…。)
内心思いっきり吐血しつつも、黙って我妻の話を聞く部下だった…。
「毎週金曜、会社帰りに俺がこの家に来てやる。だから、お前はその時、一万ずつ俺に渡すこと。」
「いッ、一万!!?」
(脅迫罪ィィィッ!!月約五万なんて、どう考えても違法だろ!!)
わなわなと身体を震わせる後輩に、我妻は相手の分の皿を片付け始める。
「まあ??俺の機嫌を損ねなければ??こうして豪華な夕食ぐらいは作ってやらんこともないが??」
「…わかりました。」
一瞬にして、欲に目がくらみカモと化した落合だった。
月曜日の朝一。すでに六人ほどが入っていたエレベーターに、落合はギリギリで乗り込む。息を切らしていると、隣から聞き馴染んだ声がかけられる。
「おっはよ、落合。」
声の主を見てみれば、金曜以来、顔を合わせていなかった水越が立っている。
「はよ~…、水越。」
二人はそそくさとエレベーターの比較的邪魔にならない位置に移動して、うるさくない程度に会話を始める。
「…で??ど~だったのさ、金曜の夜は。」
「えっ??金曜の…夜??」
一瞬して落合が思い出したのは、上司のあられもない姿だった。急いで、頭を左右に振って、記憶ごと彼方に締め出す。
「そっ。我妻さんに飲みに行かないかって誘われていたじゃん??その後の展開は??」
「・ ・ ・。」
きっちり三秒黙り込み、落合は口を開く。
「…有意義な意見交換が出来た。」
水越はぶはっと派手に吹き出す。
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