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「じゃあ、俺はどうやって我妻さんへの好意を示せばいいんですか!?一緒に帰るのもダメ、手料理を送るのもダメじゃ八方塞がりです!!」
「こう…ッ!??はァ!?だ、ダメに決まってんだろ。ここは職場なんだから!!…お前は、俺の部下としてつとめを果たせば、それでいいんだよ。」
「嫌です!!だって俺…我妻さんと部下以上の関係になりたいんです!!」
背景が残念極まりないトイレであったが、落合は彼なりに本気で上司に迫っていた。
「俺は我妻さんを好きになりたいし、我妻さんに俺のこともっと知ってもらいたい!!一晩限りの、酔っ払い同士の事故で片付けてもらいたくないッ!!」
苦しげな表情の落合は、上司の両肩を掴み、無理矢理近づける。我妻は抗おうとしたが、相手の様子を見ると途端に力が半減してしまう。
彼らが膠着状態に陥った、直後…。
「はぁ~、漏れる漏れるっと。」
「!!」
突如若い男の声がして、足音が近づいてくる。危機を察した我妻は、本能的に動いていた。感情の高ぶっている部下の襟首を掴み、半ば乱暴に個室へと放り投げる。後で、自分も同じ個室に入って鍵をかけた。
「あ、あづまさ…??」
呆気にとられている部下の口元に、我妻は慌てて自らの両手を押し付ける。…やがて、パタパタという音が二人の前を通り抜けていく。ほっ、と我妻が一息ついたのも束の間。数センチ横の扉に部下のすらりと長い片腕が伸びてくる。いつの間にか、部下の口から我妻の手は外れていた。
「…我妻さん。」
流石に、トイレの個室に成人男性二人はきついものがあった。我妻は部下と扉に阻まれて身動きがとれない。落合は年上の男の真意を確かめたくて、顔を寄せる。
「…っばか。」
段々と距離を詰めてくる部下に、我妻は目の前の厚い胸板を両拳で叩いて押しのけようとするが、ビクともしない。…落合は、小刻みに全身を震わせる上司の耳元でそっと囁く。
「俺のこと、好きになってくれませんか??」
「…~っ!!」
我妻は意を決して、個室の鍵を手早く開け、背中で扉を押して全開にする。野獣と化した落合から逃れられるなら、多少嫌な風聞が流れるくらい何でもなかった。
「わァ!?」
ビックリしたのは、落合だ。今まで我妻側…扉に力を預けていたため、勢い余ってトイレの床に顔面から突っ込む。落合が派手に転んだのをいいことに、鬼上司はこそこそと個室の奥へと逃げ込んだ。
「イタタ…。おのれ、悪鬼めぇ…。」
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