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『そこまで喜ぶことか??』
「だって、先輩の料理は一度食べたら病みつきになるもん。…俺、そんな自炊が得意な方じゃないしさ。」
『病みつき…って。大げさだな。』
間を置いて、年上の男は小さく呟く。
『そんなに俺の料理が好きなら…。今度、暇があったら、レシピを教えてやる。』
一瞬、落合は耳を疑った。
(あ、あの我妻さんが…デレていらっしゃる??)
「教えてくれるんですか!?」
途端に聞こえてくる、空咳の音。
『…ひ、暇があったらだ!!いいか??必ず教えるなんて誰も言ってない。』
落合は顔を輝かせ…好きな人の耳元に言葉を注ぐように、そっと囁く。
「…まあ、俺はいつでも先輩の手料理を毎日食べられる存在になれるよう、頑張っているんですけどね!!」
今度は携帯から盛大な咳の音がしだす。
『~…っ。お前は、本当にアホだな!!』
「え~。本心なのにぃ…。」
『…年上をからかうな!!ったく…。』
沈黙が二人の間を、川の如く流れていく。白旗をあげたのは、我妻の方だった。
『な、なぁ、落合。そ、そろそろ切っていいか??なんか、小っ恥ずかしくなってきた…。』
初々しいやりとりに、色恋初心者の我妻は耐えられなくなっているらしい。落合は、密かに口角を引き上げる。
「え~、何でですかぁ??まだ話し出して三分も経っていませんよ??カップラーメンだって半煮えですよぉ、これじゃ。」
『いっ、いいだろ。もう勘弁しろ。顔から火が吹きそうだ。それに俺は、麺硬めが好きなんだよ…。』
「え~、意外。くったくたに伸びた麺のが好みかと思っていた。」
目を丸くする落合に、電話口の相手は小声でぼそぼそと喋りだす。
『な…、なぁ??本当に切っちゃダメか??出張中とはいえ、別段なんてことないのに電話かけてぐだぐだ長電話して、これじゃまるで…。』
口を噤む相手の代わりに、落合は指摘してやる。
「付き合いたての、学生同士みたいですね~。」
『…ばか。』
ぽつんと言い返す我妻に、部下はニヤニヤと笑い出す。
「あれ??先輩、もしかしなくても照れています??」
『ああ、もうっ、言わなきゃわかんないのかよ!!本気で切るぞ!!』
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