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清々しい一夜だった。
落合が朝起きると、年上の男は約束通りベーコンエッグ(肉料理…??)を振舞ってくれた。だが、落合は成人男子。これでは足りないと駄々をこねると、じゃあ夜はハンバーグを作ろうと我妻が提案する。
「キングベッドを見て、帰ってきた後で…な。」
ふふっと、我慢できなくなったように我妻が笑い出す。釣られて、落合も微笑む。
二人は笑い合って、土曜はずっと一緒にいた。
…この先どんなことが起きようと、決して離れないように。まるで互いに言い聞かせるように、片時も思い人の傍を去ろうとはしなかった。
月曜日。週末にそれぞれ充電した人々の横顔が、しゃっきりしているか溜息をついているかのどちらかに絞られる日。
我妻がオフィスに入ってくるなり、部下は尻尾を振ってお迎えに行く。
「我妻さん!!…おはようございます!!」
顔を輝かせる落合の頭を、鬼上司は問答無用とばかりにスパンッと叩く。
「痛ッ!!ええっ、挨拶しただけなのに何で…。」
悲痛な呻きをあげた落合のネクタイを引っ張り、上司は声を低めて耳打ちする。
「ッバカ野郎!!ここは会社だ!!有頂天になっている顔を無防備に晒すんじゃねぇ!!妙に思われたらどうするんだよ!!」
我妻が相手を睨みつける。が、部下はにっこりと微笑み、相手の肩を掴んで引き寄せる。密着する互いの温もり。頬を掠める吐息。言葉をなくすのは我妻の番だった。
「忘れたんですか、俺と我妻さんは男同士。…こんな軽いスキンシップ程度で、すぐにわかるわけありませんって。」
「な…っ、お前なぁ!!」
口の開閉を繰り返し、主張の穴を粗探しした末、我妻は渋々といった体で押し黙る。落合のニヤニヤは止まらない。
「…ねっ、それにこう考えたらいいんですよ。俺は、我妻さんの仕事熱心な姿勢にメロメロな部下です。あなたに尽くしたいと思っている。」
これなら嘘じゃない、とぬけぬけと語る部下をギッと睨んで…我妻は赤い顔を誤魔化すように深く俯く。
「…落合にしちゃ、悪くない案じゃねぇか。」
ふんと鼻を鳴らして、我妻は手持ちの革鞄を相手に押し付ける。続けて、鬼上司はキョトンとしている落合を指差して堂々と言い張った。
「なら、俺に惚れているお前は、しっかり尽くせよ??例えば…大好きな上司の鞄を席に持っていくぐらいはするよな??」
「え…。」
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