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(よし、予定通りに出勤した。)
我妻とわちゃわちゃする仲になってから、部下の出勤時刻は早くなった。近頃でも自己ベストを更新し続けている。会社に行けば、我妻に会えると思うとモチベーションも上がる。
(もっともっと仕事が出来るようになって、我妻先輩に評価されたい!!)
先週の金曜での出来事からか。昨日の我妻は部下に優しかった。部下が頼まれた書類を手渡すと、あっけにとられた表情をする。偽りのない驚愕に、落合が釣られて動揺したくらいだ。
『すいません、何か不備が…。』
落合が問いかけると、上司は無垢な瞳を一瞬相手に向け…すぐに引き締め直す。
『あッ、いや…。大丈夫だ、今のところ不具合はない。ただ、その…早いな、と思って。』
あはは、と落合は後頭部に手をやる。
『俺、我妻さんに実力を認められる部下になりたいのでっ!!』
『・ ・ ・ばか。』
我妻はぞんざいに言い放ち…突如、書類の端で顔を隠し出す。タイムラグと奇っ怪な行動から、おかしさ満載だ。
『あ、我妻さん??どうしました、急に顔を隠して。』
『か…隠してねェし…。』
ぼそぼそと喋る上司を”心配して”、落合は彼の顔を覗き込もうとする。
『書類と我妻さんの距離、0ですよ??書類、それで確認出来るんですか??』
お互いの顔がじりじりと近づいていく。期待するように、我妻の息があがる。落合は静かに目を眇める。
『はっはっはっ。俺ほどになれば、さっきの一瞬で隅々まで点検できるんだよ!!』
耐えられなくなったか。我妻が唐突に顔をバッと上げる。鬼上司の真っ赤に染まった両頬を落合は満足げに眺める。
(かっわいい~…。)
落合の顔色から何事かを察した上司は、深く俯く。落合は目前で首筋まで赤く色づいている男に、目眩を覚える。
『…さ、さっさと席に戻れよ。』
我妻の掠れ気味の言葉からは、欠片も威厳が感じられなかった。
思い起こすと、全身がボッと暖かくなる。落合は口中のヨダレを一気に飲み下す。
(…最近の我妻先輩は本当にかわいい。仕草とかじゃなくて、最早そこにいるだけで俺の目に華が添えられる。咲き誇る。咲き乱れ狂う。)
えへへ、とにやついているとエレベーターが着いた。落合が乗り込んで、ボタンを押そうとした…数秒前。
「すいません、乗ります!!」
一人の小柄な会社員が乗り合わせてくる。が、エレベーターに猛進しすぎたらしく、モロに落合とぶつかる。…落合はガタイがいいので、何とか闖入者の激突に耐えた。
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