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はっはっは、と笑って誤魔化す。こじつけが過ぎるか、と恐る恐る赤沢の様子を観察する。…すると。
「え~っ!!シブカッコイイじゃないですか!!ダンディー??クール??なんていうんだろ。とにかく素敵な人ですねっ、お名前は!?落合とはどういう関係なんですか!?」
(類は友を呼ぶということわざを、俺は十年ぶりぐらいに思い出したぞ…。)
勢いよく特攻してくる赤沢に、我妻は笑みを引きつらせながらも答える。
「俺としたことが、紹介が遅れたね。俺は、我妻だ。落合は俺の部下で、先輩でもある。」
「へェ~っ!!落合の奴、こんなカッコイイ上司さんがいるなら、俺に紹介して欲しかった!!あっ、ねぇ、上司さん!!…一人??よかったら、俺と一緒にランチでもどうですか??」
「え…。ええっと…。」
予想外にぐいぐいくる赤沢に、我妻はふっと『いかん。初対面のチャラ男にナンパされる女子の気持ちがめっちゃわかる』と息をのんだ。…が、我妻は己の果たさねばならない密命を思い出し、そっと垂らした両手を拳にする。
「…あ、あのさ。赤沢…君。よろこんで食事のお誘いを受けよう。」
でも、と我妻は瞳を緩々と眇める。
「ただで、とは言えないな。」
赤沢は、ひらひらと片手を振る。
「はい!!俺に出来ることなら何でもお引き受けしちゃいますよ!!」
『何でもする』と初対面三分未満の相手に言い切る赤沢に、上司は色んな面で不安になって、引け腰になる。
「き、訊きたいことがあるんだ。…お、落合の話なんだけど。直属の上司として、学生時代の素行なんかも気になるし…。」
「なるほど!!ガッテンでぇ~す!!俺、我妻さんが求められるままに、いっくらでも喋っちゃいますよ~っ!!」
(落合、お前、友好関係をちょっと見直せ!!)
年中無休で軽い赤沢のノリに、ついていけない我妻だった…。
十二時半過ぎ。食堂前の廊下ですれ違った織戸に、バタバタと駆け込んできた落合は声をかける。
「織戸!!…我妻さん、見なかったか??」
織戸は引き攣った笑みを浮かべる。
「落合君…。我妻さん一直線なのはいいけど、昼休憩まで追いかけていたら何ていうか。最早、ストーカー…。」
口角から唾を飛ばし、落合は叫ぶ。
「違うよ!!仕事の案件だから!!あの人のOKが必要なの!!」
ああ、と納得した風を見せた織戸は小さく頷いてみせる。
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