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水越の頭の上には、『?』が浮かんでいる。どうしたどうした、と代わる代わる二人を見つめるが、双方だんまりを決め込む。やや強引にではあるが、落合は年上の男との休戦協定を結んだ…。
水曜日の午後、我妻は定期会議で帰宅は遅くなる。
濃紺の空を背景に、ネオンが煌く頃。我妻はようやく、会社の自動ドアを潜って喧騒の街に吐き出される。項をガリガリと掻き毟る男に、人影が近づく。
「せぇ~んぱい♪」
「ゲ。」
あからさま叫んだ我妻は、先手必勝とばかりに年下の男の横を通り過ぎようとする。タッチの差で、落合は年上の男を捕まえる。年下の男は相手の肩をやや強めに抱き寄せ、顔を近づける
「離せッ!!昼間にあれだけ言っただろうが!!俺は、お前に何されたって喋らねぇからな!!」
うんうん、と年下の男は感慨深げに頷く。それから、落合は上司の耳元でいいですよ、と低く囁く。
「代わりに、俺のお願いを一つだけ聞いて下さい。」
「ッは!!」
我妻は、部下の提案を鼻で笑い飛ばす。
「ど~せ、俺ン家に来て下さいとかあからさまなハ二トラだろ!?その手には乗らねぇっつってんだ!!」
「…違います。」
相手の肩を掴んでいた落合の指が、肉にぐっとくい込んだ。
「アンタの隠し通そうとする態度が気に食わないから、酒飲み勝負で白黒つけましょうって話つけに来たんですよ。」
部下のどろりとした妬みのこもった瞳に、我妻は嬉々とした笑みを返す。
「…上等じゃん。かかってこいよ、腰抜け。」
戦いに燃える二人は、過ちの一夜が互いに酔っ払ったのが最大の原因であるという点を綺麗さっぱり忘れていた…。
この間は上司が選んだから、と落合が案内したのは黒を基調とした小洒落た内装の店だった。カウンターの席は少なめで、早くもいっぱいになりかかっている。どうやら、簡易なお座敷…テーブル席が主らしい。落合も、四人がけのテーブル席をすでに予約していた。店内で一番奥のお座敷に上がった二人は、さっそく酒を注文する。
「まずは、瓶ビールにしましょうか。五本くらい一気に頼みます??」
「…つまみは??」
我妻がメニュー表に指を伸ばすが、年下の男に手ごと包み込まれてしまう。後ですよ、と部下が告げる。
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