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◇9
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突然視界に現れたのは、制服を身につけてびしょ濡れの男の子。
ボーッと僕の事を見つめていたかと思うと、突然腕を掴まれた。
…びっくりし過ぎてドン引きした声が出ちゃった…
無意識の行動だったのか、慌てたように謝罪をして
走って行ってしまった。
『綺麗な人』
初めて出会った男の子からそんな事を言ってもらえて、少なからず喜びを感じていた。
繰り返される最低な日常に、突然もたらされた非日常。
「面白い子だなあ」
気持ちはまだ沈んでいるし、心も痛いままだけど、
少しだけ笑えたのは、あの子のおかげ。
少しだけ軽くなった足取りで家へと急いだ。
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