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◇16
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「ご注文お決まりになりましたらこちらのベルでお呼びください。」
マニュアルで決められているであろう台詞をいい、仕事に戻る彼の後ろ姿を目で追った。
僕より少し高い身長で、癖毛なのか、フワフワとした柔らかい印象だ。
「ねぇ、あの子なんなの?」
目の前に座っている友人の藤井 美香が言う。
「あんな年下っぽい子、隆二の知り合いにいたっけ?」
「んー、知り合いっていうか…この間、家に帰る途中でぶつかっちゃったんだよね。」
「それだけ?よく顔なんて覚えてるねー」
「ちょっとだけ話したし。面白い子だったんだ」
思った事を素直に言う。
「なんか隆二が他人にそんな事言うの珍しいねー。結構人と距離とるタイプのくせにー。
なに?誠司と別れてあの子にすんの?」
ニヤニヤしながら美香が言う。
誠司とは僕の恋人だ。
美香は誠司との関係を知っている唯一の友人だ。
僕自身の恋愛対象が同性という事も知った上で、友人として側にいてくれる、大切な存在。
「それはないよ。まだ続いてるから」
「一応続いてる、でしょ?」
浮気の事も話しているため、美香の誠司に対する印象は良くない。
美香自身がサバサバしているタイプのため、別れをすすめてくる事もあるが、僕に別れる意志がないのも知っている。
「うるさいなぁ。いいから早く食べるの決めなよ」
嫌な話題のため、強引に話を逸らす。
さほど興味がない話題だったのか、美香の興味はメニューに移った。
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