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◇21
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賑わうファミレスで夕飯をとった後、美香と別れて自宅へ向かう。
ブー、ブー、と携帯のバイブが鳴った。
「もしもし?」
「今から来れる?」
電話の相手は誠司だった。
「え、今から?もう帰ろうと思ってたんだけど」
まだ21時すぎだが、明日も大学が一限からあるため早く帰りたかった。
僕の家は駅からは近いが、大学から少し離れた所にあった。
誠司の自宅は僕の大学の近くだ。
ここから30分くらいかかる。
「いいから来いって。隆二は俺に会いたくないの?」
「…そういう訳じゃないけど…」
「んじゃ、早く来いよ。」
そう勝手に告げると電話が切れた。
真っ暗になった携帯の画面を見つめる。
僕が誠司の言うことなら聞くと理解した上での強引さだ。
僕がちゃんと誠司に会いに行くことは分かっているんだろう。
はぁ、とため息をつき、自宅とは逆方向に足を進めた。
(なーんであんな奴、好きなんだろ)
強引で我儘で気分屋で。
そんな所が嫌いで、そんな所が好きだ。
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