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「誠司の後釜紹介してあげてるんじゃない」
(…せいじの後釜…?)
聞いた事ない名前に、思わず反応する。
「ねえ、美香。
そこは僕と誠司の話でしょ?
美香が僕達の事を気にかけてくれるのは分かってるけど、今回のはちょっと違くない?」
困ったように笑いながら告げる。
「隆二がはっきりしないのがいけないんじゃん」
「はっきりしてるよ。何回も言ってるでしょ?」
美香さんが少しイライラしたようにコーヒーに口をつけた。
カシャン、とカップが音をあげる。
何やら不穏な空気を感じる。
「何回も聞いたけど、あたしも隆二が大切なんだって。
いい加減悲しんでる隆二見たくないよ。
隆二にはもっと幸せになってほしいの!」
「その気持ちは嬉しいよ。ありがとう。
でも僕は今でも幸せだよ」
「ほら、またすぐ嘘つく!
アイツの話してる時の隆二は信じられない」
はぁ、と小さくため息をつく隆二さん。
「美香、この話は終わり。
佐藤くんだって驚いてるよ。
ごめんね、急に」
「あ、いえ…」
こちらにむかって微笑む隆二さんに、つられて俺も苦笑いを返すのが精一杯だった。
納得のいってなさそうな美香さんが話し出す。
「はいはい、余計なお世話でしたね。
でもこれだけは聞いて欲しいんだけど、あたしは隆二を困らせようとしてやってるんじゃないよ。
隆二だって本当は分かってるんでしょ?
どうするべきなのかって。
お願いだから、今後のこと、ちゃんと考えて。」
そう言って、財布からお金を置いて席を立つ。
「ちょっと、美香!」
慌てたように隆二さんが声をかけるが、そのまま店を出ていってしまった。
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