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「起こしてるのに起きないお前が悪い。ほら、顔を洗って来い」
「起こしてくれるなら、踏むんじゃなくて舐めてくれれば良かったのにぃいいい」
泣きながら余計なことを言い募る紘太郎に、伊織は思わず蹴りを入れた。何がどうして同性のモノを舐めて起こさなければならないのか、甚だ怒りが湧いてくる。
「あのな、それは俺に求めるな」
「前にやってくれたじゃん!」
「お前が俺の寝込みを襲ったんだよ!」
紘太郎は貞操観念が低い上に、下半身は無節操だ。
いつの日だったか紘太郎の家で宅飲みし、酔ってそのまま寝てしまったら襲われていた。下半身の違和感にふと目覚めれば、状況を理解して覚醒と同時に我慢できず達してしまったのだ。
羞恥や混乱で動けずにいると、白濁を飲み込んだ紘太郎が舌舐めずりをして妖艶に笑んだ。とにかく何か言葉を発しようと口を開いたが最後、紘太郎のモノを突っ込まれ、彼が果てるまで行為は続いた。
決して掘った掘られたの関係になっていないが、男として、友人として、居た堪れなかったり腹が立ったことを今でも覚えている。
とはいえ悲しいことに、不本意ながら今では彼の下半身の緩さに順応してしまった。長い付き合いとは恐ろしいもので、絆されてしまっては何だかんだと許容してしまう。
それでも行為はその一度きりだ。以降は及ぶ事はなく、危険を感じればすぐさま己の貞操を守っている。
紘太郎は馬鹿のくせに狡猾なのだ。
伊織が泊まりに行くのは、理玖か紘太郎の家だけである。理玖は祖父母と暮らしているため、必然と紘太郎の家に泊めてもらう回数が多かった。猿嶋家で衣食住を共にした時間は長く、紘太郎に上手いこと運ばれているのは自覚済みだ。
馬鹿で無節操で下半身主体の猿のような男だが、いっそ清々しいほどの態度に伊織は馬鹿らしくなった。面倒になったとも、腐れ縁だからとも言える。
こいつはこういう生き物だと納得すれば、簡単に受け入れることができた。それを助長させたのは、手の掛かる長年の友人で、行為に深い意味が無いからでもあった。
「ああ、もう、痛くて死ぬ。起こして」
「はいはいはい」
「あ、次に起こす時はちゅーでお願い」
「馬鹿猿。そのまま鼻も塞いでやる」
ともあれ、安直に許すはずもない。
伊織は紘太郎の頭を叩いて、手を差し伸べた。
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