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南の
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家に帰る途中ずっと南は黙ったままだった。
それに俺はさっきの人がほんとに兄弟なのかまだ信じきれていない。
南に気づいたのだから知り合いということは分かる。
でも兄弟というにはあまりにも南と似ていなかった。
南はとても中性的な顔で可愛らしい雰囲気を纏っているが、陽向さんはthe仕事ができる男って感じだ。
それにさっきの服装もピシッと着たスーツで、堅苦しいイメージだった。
先程まで南はどこか上の空で、流れていく景色をただじっと見ていたのだが、ふいに話し出した。
「さっきの人ね、ほんとに僕のお兄ちゃんなんだ。」
俺が聞きたかったことを、まるで知っていたかのように、悲しそうに笑顔を浮かべて言った。
「それに、僕を苦しめた人。」
「それって………」
どういうことか聞こうかと迷ってやっぱりやめた。
だって、多分、南はそれを話したくないだろうから。
「…聞かないんだね。」
さっきまで聞こうとしていたのに急に黙り込んだから南も不思議に思ったのだろう。
「気にならないって言ったら嘘になるな。
でも南が話したくないなら聞かないから安心しろ。」
「ふっ…」
何故か南は嬉しそうで、俺は何がなんだかわからなくなった。
そして小さな深呼吸をした後南は言った。
「ハルは僕に無理強いさせるような事をしないね。
ハルは…優しくて、僕にとってお日様みたい。
早く家に帰ろ?
続きを話すから。」
さっきの買い物の時とは違い、今はとても真剣な表情だった。
家に帰ったら俺の知らない、南の世界に足を踏み入れる。
どんなことでも俺は南を軽蔑しない。
それは絶対と言える。
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