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お外は怖いところだって。osut風味
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※親子設定、死ネタ
鬱視点
os「外に出ちゃダメやで?」
お父さん達には前からそう教えられてきた。おかげで僕は、外というものを見たことがない。
ut「なんで出てっちゃ行けないん?」
そう言ったとき、お父さんはすごく困った顔をしてた。
os「外にはな、凄いでかい怪物がいるんや。だから出てっちゃダメやぞ?」
でもね、僕は友達が外に出て行ったのを見たんだ。
ut「他の子はやってたんよ?なんで僕だけダメなん??」
os「…そういう親の言いつけを守らない子供たちが出ないように、一家族同士がこの家ん中で寄り添って暮らしているんやで」
でも僕は知ってる。お父さん達が、定期的に外に行く人を決めてるってこと。だからね、きっと僕の番が来ると思うんだ。
それまで待つのかぁ…やだなぁ…
ちらっと、銀色の扉が見える。
あそこを開けば、外に出れる。
なぜか、鍵がかかっていない。
ut「ほんとに出てっちゃダメなら、鍵かけるもんなぁ…」
僕は、重い扉をこじ開けた。
ut「こんな簡単に開くんや…」
初めて見る灰色の空。絵本で見た、雪というものが降っている。
僕は息を飲んだ。怪物なんてどこにもいない。
なんで出てっちゃダメだったんだろう。出てっちゃダメな理由が分からない。
だって、外はこんなにも広くて──
オスマン視点
os「何がいけなかったんかな…」
ポツリと呟く。こんなことを君の前で言ったら、君はなんて言うだろう。
os「きっと、何もかもがいけなかったんや」
俺は灰色の街を眺めた。
灰色の雪が降っている。
子供がこんな汚染された空気を吸ったら、10秒程度でこと切れてしまうだろう。そんなこと、知っていた。
でも、子供たちは自分の限界を知ってくれはしない。この大気を吸って、直ぐに"物"と化してしまう。
俺は、冷たくなってしまったその"物"を抱きしめた。
俺は知っている。君は戻ってこないってことを。
正義を掲げて出ていった、君はこう言った。
「必ず戻ってくる」と。
でも、君はきっと戻ってこない。
君は死んだ。
そして、また人が死ぬ。
この汚染し切ったこの街で、人間はどう生きていくと言うのだろう。
もう十分だ。
俺は目を閉じた。
寒い冬のある日。
2人の遺体が灰に埋もれる。
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