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××であることの定義④ zmem
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ショッピくんの話。ショッピくん、告白に成功したみたいなんだ。
どうやって落としたのかは知らないが、両片思いだったらしい。
ショッピくんがコネシマと付き合ってからというもの、ショッピくんと飲むことが少なくなった。
だから今日は一人で酒をあおっている…はずだったのだが。
俺は今、呼び出されてエーミールの家にいる。
白を主とした質素で綺麗な部屋。几帳面なエーミールらしい。
俺はコタツにおもむろに座る。そしてそのまま沈黙の時間が続いた。
俺は正面に座ったエーミールを見つめ、先に話を切り出した。
zm「…あのさ」
エーミールはまだ下を向いたままだった。
zm「なんで今日俺のこと呼んだん?なんか用事あったんやろ?」
そう言っても、エーミールは俯いたままこちらを向かない。
zm「…そういやぁ…エーミールの奥さん単身赴任中?同棲してないんやな」
俺がそう言うと、少し肩を揺らす。何かを言おうとはくはくと口を動かすが、声にならず空気だけが漏れている状況だ。
zm「…」
em「…」
また部屋は静まり返った。
em「…あの」
今度はエーミールが口を開いた。
em「…私、実は結婚…してないんです」
俺はその言葉を聞いて落胆した、と同時に安心もした。
zm「…そか。エーミール…見栄はりたかったんやな(笑)」
em「…」
zm「いやぁ…童貞の癖に…そりゃあ彼女とか出来るわけないわな」
em「…」
いつもなら俺の言葉に突っ込んで来るはずのエーミールは、まだ何か言いたげに俯いている。
zm「…?」
em「ゾムさんが…」
エーミールはそこまで言って、また目を逸らした。そして向き直り、こう言う。
em「ゾムさんが私のこと好きなの…知ってたんです」
エーミールの言葉を聞いて、瞬時に理解した。
エーミールは知っていて、結婚してると嘘をついた。それは俺に対する『侮辱』だった、ということ。
zm「…知ってて、それで?だからなんや??」
em「…」
zm「ああ、そっかそっか。俺のこと裏で笑ってたんやな」
俺はエーミールを見て、少し嘲るように笑う。
em「ちが…」
zm「男を好きになる俺のこと、気持ち悪いだとか思ってたんやろ?」
em「だから…違う…!」
zm「もう、いいんや。お前に『結婚した』って言われたときから、俺は諦めてたからな…だから、もう」
俺は立ち上がり、玄関へと向かった。
em「ゾムさん…!」
俺はエーミールの言葉を無視し、寒い夜の街に意図的に吸い込まれていった。
追いかけてくるエーミールを振り切って、俺は走った。
ゆっくりと、肺の中にある二酸化炭素を外へ押し出していく。
なんて冷たいんだろう。
外ははらはらと粉雪が舞っていた。
だけど、冷たいのは雪のせいだけではなかった。
ポロポロと涙が零れる。
zm「…あいつとは…わだかまりなんかないと思ってたんやけどな…」
俺は静かに自分の家へと向かった。
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