アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode 6
-
「もう、誰もお前を責めないよ」
缶珈琲を2つ。
1つは無糖、1つはカフェオレ。
余すことなく身を照らす日光に包まれ、2人は中庭のベンチに腰掛けていた。
「何もお前1人が苦しまなくても良いだろ、治療費なら俺が手伝ってやれる」
柊は鴇が嫌いだ。
20年経って尚、柊は浅葱に想いを告げられないでいる。
浅葱の瞳は常に鴇に向き、間違っても、柊の腕の中には飛び込んでは来ない。
「……良いんだよ、ボクは今に満足してる」
プルタブを開けた缶を手の中で弄びながら、眩しくて堪らない太陽を見上げた。
いつだって、明るいところは側にいる。
いつだって、明るいところは遠くにいる。
「ありがとう、柊」
柊が幼馴染で、良かったよ。
柔らかなその言葉はいつも彼の心を抉った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 71