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Episode 21
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真冬に呆然と水を浴び続けていた浅葱は、その日に高熱を出した。
苦しげな呼吸、時刻は正午。
柊は浅葱を病院に連れていってやりたいが、予約なしでは何時間も待たされる。
「……浅葱……」
冷えきった身体を抱きしめた時、柊はどうしようもなく不安だった。
離れれば二度と戻ってこない気がした。
乾いた冷えピタを取り替え、頰を撫でる。
焦点の合わない瞳を重々しく開いた浅葱は、傍らに座る柊を見て微笑む。
「にい、さん……」
嗚呼、夢を見ている。
精神的負荷から身を守るために、浅葱は夢希望に縋ったのだ。
「…………俺は、柊だよ。なぁ、浅葱……」
再び意識を深く沈めた浅葱に、問い掛ける。
「どうすれば、お前は俺を見てくれる?」
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