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Episode 30
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兄さんの温もり。
夢から覚めることに怯え、この世界に縋りつく。
夢ならどうか覚めないで。
「兄さん、こうして、ずっと話したかった」
どっしりとした大樹に背を預け、肩を寄せ合い地面に座る。
青々しく茂る三つ葉のクローバー。
その中に、無意識に四つ葉を探してしまう。
「ああ。俺も、話したかった」
兄さんはボクに向き直り、右手を握った。
「いつも会いに来てくれてありがとう」
そのまま兄さんはボクの手を頰に当て、微笑んだ。
そんなこと、当たり前でしょ。
ボクらは家族なんだから。
「ずっと言いたかったんだ。毎日こうして、俺の手を握ってくれていただろ?」
暖かい頰。血が通っている。
目を開けた兄さんがボクを見てくれている。
「辛かったよな。俺は、お前を縛りつけてる」
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