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Episode 35
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「……つ、きあう……?」
ボクは知らない。
柊がボクを愛してくれていたことは知っている。
それでも柊の優しさに甘えて、幼馴染の枠組みを終ぞ破らないように牽制した。
それでも、柊は。
「そう、付き合う。俺はお前を愛してる」
迷いはない。
その瞳に見つめられ、浅葱は困り果てた。
浅葱だって無論、柊を愛している。
それでも兄に向けるような愛ではない、親愛のそれだった。
「柊、ボクは……」
分かっていると思うけど、到底釣り合うような人間じゃないんだよ。
兄さんのためとはいえ、名前も知らない男とセックスをして、それに幸福を見出すような奴なんだ。
「……愛して、欲しかった」
愛してくれるなら誰だって良いんだ、本当は。
柊の顔が歪み、しかし無理矢理に笑顔は向けられる。
ごめんね、そんな顔をさせて。
ごめんね、綺麗じゃなくて。
「代替で良い。お前の兄貴の代わりでも、毎晩抱かれる代わりでも」
するり、と掌が頬を撫でていく。
柊の顔が近付き、そっと口付けられた。
ひどく優しい。
情欲も何もかも感じさせない、まるで挨拶の延長線上だとでも言うような。
「浅葱。お前は、1ヶ月も眠ってた」
柊はぽつぽつと話し始める。
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