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Episode 40
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「知っているでしょう?彼は、貴方のためなら何だってしますよ」
貴方の手は穢れない、そして終ぞ楽になれます。
強烈な毒が染み込んでいくように、それだけが思考を支配する。
「……柊を犯罪者にするわけには」
横から伸びた長い腕が、鴇の生命を繋ぐ管に触れた。するり、指先を滑らせる。
「それなら、貴方がやりますか?」
目が離せない。やらない、出来ない。
これ以上を望めない人生であっても、棒に振るのはとても恐ろしかった。
「出来ないでしょう。人の命はいとも簡単に奪えますが、大多数はそれをしない」
如月は自分の心臓の場所を指差し、ほんの一瞬、どろりとした深い闇のようなものを瞳に揺蕩わせた。
「多くは、他人より自分の方が可愛いから。だからどれだけ憎もうとも、殺したいと願っても、終わらせられないんです」
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