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Episode 50
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「……それで、今あいつは会いに来られる状況ではないので、代わりに俺が」
1週間毎に、柊は鴇の様子を見に行くようにしていた。大嫌いだが、それは浅葱の不安を一蹴する理由にはならない。
それを知ってか、主治医の如月は可能な限り柊に話を聞きに来た。
最近顔を見なくなった浅葱を心配していたのだろう、柊と共に療養していると聞くと、身体の力が抜けたように息を吐く。
「そうでしたか……織部さんとご一緒なら、きっと安心ですね」
昼間、白で塗り固められたロビー。
診察を待つ人や、会話に興じる人々、様々だ。
「浅葱くんはこの6年間、色々なことを1人で考えていたんだと思います。傍から見ていても、痛々しかったですから……」
「もう諦めろって、言ってやりたいんですけど」
柊は苦笑し、如月は微笑む。
「……そうだ、もし何かあれば、ここに連絡を頂けますか?」
白衣のポケットから取り出した紙とペンで即席で書き留めた連絡先を柊に渡す。
「この病院はカウンセリングも充実していますし、勿論、僕も何か力になれるかもしれないので」
「どうも。そう言って貰えると、力強いです」
受け取った紙を丁寧に仕舞い込み、如月に会釈をしてその場を離れる。
柊の姿が見てなくなるまで見送った如月は、やがて戻って行く。
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