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Episode 56
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翌日。
仕事を早く切り上げられた柊は、今日も鴇の様子を見に来ていた。
覚悟がある。
柊は今日、鴇を殺すと決めていた。
前回は如月の邪魔が入ったが、今日こそは。
穏やかに眠る鴇を前に、顔の高さまで掲げた掌を見る。捕まったって構わない。
首を締めれば事切れる前に機械は喚く。
柊にとって、何より優先すべきは浅葱だった。
息を吐く。
手を伸ばし、恐らくこれから訪れるだろう生々しい生死の感覚を想像する。
血が流れる暖かい首に触れ、掴み、締める。
鴇の喉がぐぅ、と揺れた。
何故か、こんな時に走馬灯のようなものが流れ始めた。
柊は鴇が嫌いではなかった。
浅葱を目で追い愛し始める内、次第に嫌いになったのだ。
子供じみた嫉妬、馬鹿げた恨み。
恋が実らない全ての原因は鴇だと、そう思うことで自分を救ってきたのだ。
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