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Episode 68
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鴇の病室に戻った時には、柊は姿を消していた。酷く、酷く傷つけてしまったのだろう。
情緒が不安定になっていたとはいえ、柊が浅葱にした多くのことを忘れてはいない。
深く愛し、想い、助けてくれていた。
眼前、愛しい兄。
浅葱は唇を噛み締める。
青い春は高く売れた、年齢を偽って何年だろうか。
高校というものに行ってみたかった。
世間の常識に置いていかれて長く経つ。
名ばかりの母親に罵倒され続け、それは今でも変わらない。
深く、息を吐く。
冷気は窓を伝い、適温に保たれる部屋を侵略しようとする。
青々しかった葉は枯れ、今や見る影もない。
一歩、また一歩と歩み寄る。
何よりも大切だった。
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