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君が残したもの
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暖かな日差し
コーヒーの少し苦い香りがポアロを包む
外は枯葉が散り
風で木が凍えているように見える
僕はキッチンから身を乗り出し
お客さんがいないことを確認して外へ出る準備をする
「梓さん、外掃除してきますね」
「ありがとうございます。寒いので、気をつけてくださいね!」
キッチンから出て自分の上着を羽織り、箒を持つ
外へ出る前にちらりと時計を確認をした
...会えるかな。
少しの期待を持ちながポアロを出ると
外は思っていた以上に寒い
腕をさすりながら身震いしていると
パタパタと子供の足音が聞こえてきた
「あ、安室さんだー!」
「あ!お久しぶりです」
「おー!元気してたかー!」
「こんにちわ、学校の帰りかな?」
少年探偵団3人はいつもの様に元気一杯だ
流石というかやはり子供は薄着でも元気なんだな
「そうだよー!私達、今から公園行くから学校からすぐ帰ってきたの!」
「そうなんだ、あれ?コナンくんと哀ちゃんは?」
「へ?」
一瞬で3人の顔が深く沈んだように暗くなった
喧嘩か何かをしてしまい
気まずい部分に触れてしまったかと
少し戸惑うと光彦君からポツリと言葉が出た
「...安室さん、聞いてないんですか?」
「え?」
「...コナンくん、外国にいる親御さんの元へ帰られたんですよ?灰原さんは急な引越で...」
「......」
「安室さん?」
「あ、あぁ、ご、ごめんね。教えてくれてありがとう。気をつけて遊ぶんだよ。」
「は、はい...。では」
パタパタと子供の足跡が去っていく
でもこの中に会いたかった子供の足音は無い
明らかに動揺する僕はその場に立ち尽くした
まるで走馬灯のように
僕の中にあるコナンくんがポツポツと溢れ
心の隙から零れてくる
「あぁ、僕は...コナンくんが好きなのか」
心から零れたものが言葉として出て
その言葉は捧げる相手もいないまま彷徨う
「本当に...なんて子なんだ」
終わりになんてしない
絶対に探し出して君を手に入れる
どんなに君が僕に会いたくなかったとしても
本当に僕の心になんて面倒なものを
残していってくれたんだ君は...
僕は掃除を再開しながら不敵に口元をほんの少しあげた
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