アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
店を閉めて、少し早めの夕食へと向かう。
「あ、ここ俺が4月から通う専門学校なんです。」
幼稚園の先生になりたくて受験した学校で、併設された保育園で実践できる恵まれた環境なんだという。
「認可外とか認可とかよくわからないけど、これからたくさん勉強して、子どもと関われる仕事をしたい。」
そう言っていた。
「・・・ここでね、受験したとき優しくしてくれたお兄さんがいて。」
切なそうに胸を押さえて見上げてきた。
「その人のこと好きになって、でも恋人がいて・・・失恋しちゃった。」
好きになったのは、男性だったんだ・・・。
「・・・奪おうとは思わなかったの?」
「そんなこと出来ないよ。好きって、愛してるって恋人から言われてたの知ってるもん。」
そっか。
くしゃりと頭を撫でて、店へと促す。
「辛いな。」
「・・・うん。」
俯いたまま歩くその肩を抱いて励ます。
「大丈夫だよ。次の出逢いがあるから。」
「うん。」
しんみりした空気を消すようにラーメン屋を目指して歩いていると、背後から声をかけられた。
「こうちゃん!」
「あ、真由ちゃん。」
これから予備校にでも行くのだろうか、制服のままのその子は笑顔で光太郎に声をかけた。
「こんにちは!」
一緒にいる俺にも笑顔で挨拶ができる良い子だ。
「こうちゃん、珍しい!この辺なの?」
「ううん、今日は一緒にご飯食べる約束してるんだ。」
俺を見上げて説明する光太郎の様子に、真由ちゃんと呼ばれた女の子はにっこりと笑って去っていった。
「ごめんね、後輩なんだ。」
「へぇ?後輩にこうちゃんって呼ばれてるの?」
ちょっとだけ、ムッとした。
「うん、図書係で一緒だからね。」
ふぅん。
「本、好きなの?」
「うん、なんか係を持たないといけなかったんだけど、やるなら本を読みながら仕事ができるのが良いなぁって。」
なんだろ、独占欲がでてる。
ヤバイなぁと思った。
年齢差、いくつだと思ってんだよ。
相手は子どもだ。
実は同じ年齢の弟がいた。
弟と同じ年齢の子と付き合う気にはなれなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 872