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食事が終わり、タッパーはお礼にと大輔さんが洗ってくれた。
大輔さんは作るのは出来ないけど、掃除と片付けは得意なんだそうだ。
「お腹が落ち着くまで映画見ようか?」
「ゾンビはもうやだよ?」
「大丈夫!日本のドラマだよ。」
安心した。
大輔さんが部屋の奥からクッションを持ってきてくれたから、最初から床に座ってお菓子を並べた。
照明を落とすと、大輔さんが俺の横に座ってリモコンで映画をスタートさせた。
・・・。
・・・なんか、おどろおどろしいような?
なんとなく危険な香りがするのは何故だろう。
「ひぃ!!」
慌てて大輔さんの胸に飛び込んだ。
ダメなやつーーーー!!!!
「な、ゾンビじゃないだろ?」
「うそつきっ」
「ブフッ。気になるくせに。」
そう、見なきゃいいのに、チラチラ見ちゃう。
「ほら、ここ見とかないと最後に繋がらないぞ。」
言われて大輔さんの腕を盾にして画面を見る。
よしよし。
抱え上げられて、しっかりと抱っこされた。
全身大輔さんに包まれて、ちょっと安心する。
「これなら安心だろ?」
「うん。」
体育座りした俺を包み込んだ大輔さんからは、良い匂いがした。
やっぱり美容師さんだからかな。
シャンプーの良い匂い・・・。
この手でちょきちょきして、この手で頭を洗うんだ。
大輔さんの手を掴んで、まじまじと見た。
「どうした?」
「ううん、この手でちょきちょきして格好良くしてくれたんだと思って。」
・・・ちょきちょき。
可愛い!!
なんだこれ、どういう生き物?
「俺の利き腕、右手ね。それ、左手。」
「はうっ!!」
可愛い。
食っちまいたい。
このちょうど収まる体。
小さな頭に、形の良い耳。
ふんわりと甘い香りが漂うのは、シッカロールの匂いだろうか。
「・・・光太郎くんはシッカロールの匂いがするね。」
「シッカロール?あ、ベビーパウダー?」
「そう。」
歳の離れた小さな弟がいるのだそうだ。
多分その子を抱っこするせいだと思う、と笑っていた。
「ほら、友だちが消えるぞ。」
「ひぃ!!」
50分程度の短いホラー映画。
冷静に観ると辻つまが合わずに酷評もされた映画だったが、気楽に観るにはちょうどいい長さにちょうどいい恐怖感。
そう思って選んだ映画だが、光太郎にとっては最高に怖かったらしい。
「俺、トイレ行きたい・・・。」
「あっち。」
「や、ついてきて。」
半泣きになりながら、お願いされた。
「お願い、ドアのところに居て。」
新鮮過ぎて、笑みが零れた。
「そんな怖かった?」
「うん、ひとりでトイレ行けない!」
「大丈夫だよ、配管に入れないって。」
「窓から入ってきたらどうするの?」
「ここ5階だし。」
「だって幽霊飛ぶもん!」
必死だ。
「わかったわかった。じゃあ廊下で待ってるから、しておいで。」
「うん!」
一緒に連れだってトイレに向かう。
トイレの中に入ったのを見届けて壁に寄りかかった。
「大輔さん、いる?!」
「ブフッ。いるよ。」
「すぐ終わるから、居てね。」
「・・・。」
「やぁ!!大輔さん!!」
「はいはい。」
「なんで黙ったの?」
「面白そうだから。」
「いじめっ子!!」
怖くて一瞬でさえひとりになれないようだ。
縋られて可愛いと思ったのは、この子がはじめてだ。
「光太郎くん。」
「なに?」
水を流す音。
手を拭きながら出てきた光太郎は首を傾げながら見上げてきた。
「呼び捨てしていい?」
「もちろん!」
最高の良い笑顔。
知ってる?
俺、光太郎のこと好きになったよ。
「じゃあ、光太郎。」
「はい!」
「風呂入っておいで。」
「ヤダッ!」
ひとりで入れないって言ったら、襲っちまうよ?
「俺、ひとりで入れない!」
ほら、襲われるぞ。
「風呂狭いもんさ。」
「だって怖いもん!」
だから。
「だから、一緒に入って?」
ほら、天然の誘惑。
俺、耐えられるかな。
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