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卒業式
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卒業証書を持って、校庭へと駆け出して行く。
たくさんの在校生。
たくさんの保護者たち。
「大輔さん!!」
笑顔で迎えてくれた愛しい人。
傍らにはお父さんとお母さん。そして大吾。
「お父さん!来てくれたんだね。」
「もちろんだ。立派だったぞ。」
そう手放しで褒められて、凄く嬉しかった。
「お母さん、ありがとうございます。」
「光太郎さん、おめでとうございます。」
大吾が抱きついてきた。
「にいちゃ。」
「ありがとう、大吾。」
優しく頭を撫でてから、大輔さんを見上げた。
「光太郎、おめでとう。」
「ありがとう!」
「ほら、後ろで友だちが待ってるぞ。」
あ、真由ちゃん!
「こうちゃん、おめでとう!!」
「真由ちゃん、ありがとう!送辞、立派だったよ!!」
「緊張してたから、ずっとこうちゃん探しながら喋ってた!ちゃんと言えてた?」
「うん!」
心から感動した。
色んな事、思い出した。
あ。
「真由ちゃん、真由ちゃん。」
「ん?」
「あの人、一回会ったことあるの覚えてる?」
「うん、こうちゃんが誰かと出歩いてるの珍しかったから覚えてる。」
あのね。
俺の恋人。
えぇ?!
ひ、久しぶりに仰け反った。
こ、こうちゃんも、そっちの方だったわけね?
同時に納得した。
美容師で23歳年上で、腕枕してくれるコイビト。
マッチョなレスラー彼女かと思ったら、男性だったとは。
ことごとく想像を斜めに越えていく。
さっすが、こうちゃん。
だからバレンタインのチョコをもらえないかもって言ってたわけだ。
「明日から一緒に暮らすんだ。」
二度仰け反った。
ぶっ飛んでる。
相当、ぶっ飛んでる。
つまり、同棲というやつ。
流石だ。
さすが、こうちゃん。
でも、幸せそうに笑っている こうちゃんを見て安心した。
お父さんもお母さんも卒業式来てくれてるし、本当に良かった。
「卒業、おめでとう。こうちゃん、幸せになってね。」
卒業の はなむけの言葉としてはオカシイけど、心からそう思った。
「うん、頑張るよ。」
手を振って5人で帰っていく こうちゃんに、こっそりお辞儀した。
今まで本当にありがとうございました。
私の心の癒しだったよ。
明日からは、彼氏さんとふたりで幸せになってね。
それと。
「ずっと友だちだよ。」
春風の吹く校庭で、小さくなっていく優しい先輩の背中を真由は静かに見つめていた。
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