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何故こんなことをしているのだろう…
震えている彼を見て、居ても立っても居られなくなってしまった。
こんなことは俺にとって初めてのことだった。
「ほ、本当にすみません。あ、ありがとうございます…」
ああ、謝らないといけないのはこっちの方だ。
勝手なことをして気持ち悪がられていないだろうか…
震えが止まっているところを見ると、なんとか安心はしてもらえているらしい。
「大丈夫だよ。怖かったね。」
そう声をかけると、彼は俺の胸にうずめていた顔をおもむろにあげ、チラッとこちらを見ると、また俺の胸に顔をうずめた。
心なしか耳が赤い気がする。
恥ずかしいくせに俺の胸に顔を戻すのは無意識なのだろうか…
………可愛い。
俺の中でそんな感情が芽生えた。
小動物を見ているような気分だ。なんとも行動が愛らしい。
俺はこの子の名前を知りたくなった。
電車内ではそんなに大声で話すことはできないから、彼の耳元に顔を近づけた。
「……君、名前は?」
そうたずねると、男の子は一瞬ピタッと止まり、その次には体を硬くして、身震いを起こしていた。
…えっ、大丈夫かこの子…。
俺、やっぱり気持ち悪かった…?
「…ねぇ、大丈夫?」
心配になった俺は、更に問いかけた。
すると今度は少し弓なりになり、またプルプルと何かを耐え始めた。
……本格的に心配になってきた。
俺のことが生理的に無理とかだったら結構立ち直れないかもしれない…。
俺は首を傾げ、「……ねぇ……」と声をかける。
「はぅっ……!やっ、ごめっなさっ」
やはり様子がおかしい。
男の子は耳に手を当て、必死に謝ってきた。
もしかしたら、
…………耳がダメなのだろうか。
そんな疑問が浮かんできたが、とにかく今は彼が心配だ。
「…ねぇ、本当にだいじょ……」
もう一度言葉を彼にかけようとしたら、
丁度「プシューーーー」と鳴りながら、彼の背後の扉が開いてしまった。
あっ、と思った時には時すでに遅し。
「はぁっ………ご、ごめんなさいっ!!!」
ドンッと俺の胸を少し押して、彼は駅に飛び出て走って行ってしまった。
彼の不可解な態度と、拒絶されてしまったかもしれないショックで、俺も降りなければならない駅なのに、しばらく動くことができなかった。
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