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その本心とは
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side 萩野
その場所は、俺の一年のときからのお気に入りの場所だった。
だから、そこでまさかもう一度君に会えるなんて思っていなかった。
いつもみたいに温室で眠っていたら、物音がした。
俺は些細な物音に気づくぐらいには眠りが浅い。
そして、目を開ければ、寝ぼけながらも相手の顔をインプットしようと脳をフル活用した。
びっくりしたような怯えたような表情が可愛いと思った。
その子は逃げようとしたから咄嗟に、本当に無意識に腕を掴み引き止めた。
今となってはその寝ぼけた俺を褒めてあげたい。
なんとか(ほぼ無理やり)名前を聞き出し、
あの電車の子の名前が星野春、と言うことを知った。
そしてまた、なんとか(無理やり)名前呼びを許可してもらい、また近づくことができた。
そして俺にとっては毎度おなじみこの温室の主、
広瀬が来て、返事が聞きたいだのなのんだの春に言っていて、なぜかヒヤッとした。
だが嬉しいことに、春が園芸部に入るらしい。
俺は嬉しく思ったのと同時に、園芸部じゃない自分を恨めしくも思った。
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話の流れで朝、春を手伝うことになった。
春より少し遅れて温室に入ると、
思わず立ち止まってしまうくらい、春に見惚れてしまったことを自白しよう。
花壇に向かってしゃがみこみながら、慈悲深い微笑みを花に向けていた。
俺はすぐに側に行き、一緒にしゃがみ込んだ。
その後の春の一つ一つの行動が、なんとも可愛らしかった。
髪から落ちる髪の毛が、少し邪魔そうだな。
ただそう思っての行動だった。
その行動が春を、あんなに怖がらせてしまうとは思わなかったけど、俺にとっては嬉しい誤算だったかもしれない。
一生懸命俺に説明してくれて、信用してくれて、
本当に可愛いと思った。
気持ち悪いと思う………?そんなはずがない。
それからはほぼ無意識の行動だった。
気づいたら手が伸びて、春の反応に酔いしれていた。
もっと春の秘密を知りたい。
俺だけが知っていたい。
こんなにも俺の中で春の存在が大きくなっていたなんて、自分でもびっくりだ。
ただ、一度見つけたからには、もう見失いたくないとは思う。
けど、焦りは禁物。
じっくりじっくり可愛がって、最終的にはトロトロになった春が見たい。
こんなことを思っているなんて知られたら、
それこそ僕が嫌われてしまうのだろうか。
仕事を終えたジョウロを持って温室を出る。
……………あぁ。
「………本当にかわいい。」
俺は微笑みながら、次はどうやって進展しようか。
そればかり考えていた。
side end
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