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束の間の休息
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no side
それはある日の放課後の園芸部の活動中のこと。
春「広瀬先輩、こんにちはっ」
星野春が入部して2週間経つか経たないかの月日が経過した。
少し前入部した新入部員も始めの頃は一歩引いたところにいたものの、最近は打ち解けてきたようだ。
広瀬「はい、春くんこんにちは。」
こちら園芸部の先輩もそんな後輩を弟のように可愛がっていると、先日公言した。
それ以来、この先輩後輩の関係は更に深まり、日々仲睦まじく活動している。
春「先輩っ、今日は何をするんですか?」
後輩がニコニコと楽しそうに話しかける。
広瀬「ふふっ、春くん。今日はちょっと特別な事をするよ?」
それまたニコニコと、何か企みを含んだ微笑みで先輩が言葉を放った。
春「えっ、何ですかなんですかっ…!?」
広瀬「それはねー、じゃじゃーん!」
先輩が楽しそうに後輩の前に見せびらかしたのは、今の季節にぴったりの植物だった。
春「せっ、先輩っ!これ、新しいお花さんですかっ!?」
それを見た後輩は、頬を鮮やかなピンクに染め
目にはうっすらと膜を張っている。
まさに興奮した様子だ。
広瀬「ふふふ、そうだよそうだよ。部費で買っちゃったんだ〜」
その後輩のなんともいいリアクションに先輩は更に嬉しそうになった。
春「はわぁ〜……、は、早く植えてみたいですっ」
広瀬「待ってね、今鉢から出すからね〜」
鼻歌でも歌い出しそうな様子の2人である。
春「先輩っ、この花壇のここら辺空いてますよ!」
先輩が用意をしている間に、後輩は立ち上がり、周りの花壇から良さそうな場所を探しだした。
広瀬「おっ、春くん。ちょうど僕もその辺りに植えたいなって思ってたんだよー」
春「…えへへっ、一緒ですぅ……」
先輩と意見が一致したのが嬉しかったのか、後輩はふわふわと笑った。
広瀬「うん、一緒だねぇ……」
そんな後輩の様子にも先輩は嬉しそうだった。
広瀬「よし、出来たよ。じゃあ先に花壇に穴開けちゃおうか。」
春「はいっ!」
花の用意ができたら、花壇の植える場所の準備に取り掛かった。
2人は軍手をして、花壇の土を耕している。
栄養豊富なのだろう、そこの土はしっとりと、濃い色をしていた。
広瀬「よし、こんなものかな。じゃあ春くん。そこのお花をそっと持ってきてくれない?」
春「はいっ!!」
後輩は先輩に言われたことを忠実に守り、両手で花を抱えそっと、そっーと持ってきた。
そんなに慎重にしなくても、と側から見たら言われそうだが、そんな後輩にも、先輩は慈愛のこもった眼で見つめるだけだ。
広瀬「ふふっ、ありがとう。じゃあ花壇に植えようか」
そうして2人は、花を花壇に植え始めた。
広瀬「春くん、土は優しく、優しくかけてあげるんだよ。お布団みたいにね」
春「はいっ、………お布団……お布団……」
先輩のいう事を後輩は復唱しながら作業をする。
温室は少し土臭い空気が漂っていた。
それでも、温室の空気はどの部活にも出せないほど穏やかで暖かかく、微笑ましかった。
温室に新たな色が加えられたそんな出来事。
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