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傷跡
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萩野「ほら、春帰ろ」
そう言って、犀夜さんは僕に手を差し伸べてきました。
ですがその手を取ろうか僕は迷っています。
温室事件のその後、犀夜さんが何かしたのかあっという間に女の先輩たちは解体され、ボス……?の理沙さんは転校していったそうです……。
…………僕のためにいっぱいしてくれたんだなぁ
でもその代わり、僕は少し恋愛に対して臆病になってしまいました。
下駄箱から出たら、いつものように犀夜さんが壁に寄りかかって僕を待っていました。
そして僕に気づき声をかけてきたのです。
今だって犀夜さんの差し伸べてくれている手を取っていいものか……、
あれ以来頭の中でキモチワルイという言葉がずっとぐるぐる回っているのです。
…………僕はいいけど、犀夜さんまで気持ち悪いって思われたらどうしよう……
あの先輩たちが言っていたように一般的には拍手して喜ばれるものでは無いことはわかってはいるのです……。
………でも、犀夜さんへの気持ちがそれで変わったわけでもありませんでした。
僕がうーーーっと自分の制服の裾をぎゅっと握りしめていると、そんな僕の手を優しく解き犀夜さんが握りしめてきました。
萩野「……大丈夫。俺たちは人に言えないことしてるわけじゃない。………少なくとも俺はそう思ってる。」
……………っ、……
僕「…………ぅぅー、僕だってそう思いたいです………っ!………っでも…、」
萩野「春。………できれば無理はさせたくない。………でも、これだけは覚えておいて。俺は春と居られるなら周りに何て思われてもいいよ」
そう言って、犀夜さんは包んでいた僕の手を離しました。
さんざん駄々をこねたのにそれが無性に寂しくて、僕は思わず犀夜さんの制服の裾を摘みました。
僕「………ふっ、ごめ、なさい……っ、でも好きなんです…………、これでもいいですか……?」
犀夜さんは僕の指先を一瞥すると満足げに頷き、「じゃあ、帰ろうか」と歩き出しました。
僕は犀夜さんの少し斜め後ろを袖を摘んだまま歩きました。
歩いている途中、犀夜さんが急に後ろを歩いていた僕の腰に手を回し、グッと身を寄せて来ました。
僕「………わ……っ、ちょ、犀夜さん……っ!?///」
僕は恥ずかしくてワタワタとしました。
萩野「横にいなきゃダメだよ」
犀夜さんが流し目で僕を見てきました。
…………ギュンッ………ッ
…………うぅーーー、かっこいぃ……っ////
ちょっと落ち込んでた気分が吹き飛んで、僕は顔を真っ赤にして犀夜さんの制服をギューーっと強く握りました。
萩野「…………この初々しさもいいな……」
僕「……………」
犀夜さんは真顔で意味深なことを言っていました。
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